2016 Fiscal Year Research-status Report
健康と食の「リスクをめぐるコミュニケーション」に関する実証研究
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16K04038
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
柄本 三代子 東京国際大学, 教育研究推進機構, 准教授 (90406364)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食 / リスク / 健康 / 有機 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年7月にウィーン大学で開催された国際社会学会の第3回Forum of Sociologyにおいて、Thematic Group 04 Sociology of Risk and Uncertaintyによって企画されたセッションFood and the Risk Societyにて報告した。タイトルはBeing “good” and “smart” consumers: Communication about food risksである。報告内容をうけ、セッション参加者たちと食の安全や機能性食品にかかわる各国の取り組みや現状について情報交換した。また今後の研究につながる有意義な質問やコメントを受け、充実した議論を行うことができた。また現地において、健康をめぐっての食や有機野菜にかかわる流通と消費に関する視察も行った。 2016年10月に九州大学で開催された日本社会学会において、テーマセッション3「社会学は食の未来をどう構想できるのか?」に応募し、「食をめぐる政治的関心とその変遷――運動としての『有機』から『オーガニック』へ」というタイトルで報告を行なった。健康や食のリスクにかかわる具体的取り組みについて議論できた。 2016年11月と12月には、福島県の二本松有機農業研究会による「収穫祭」と「“猫の手”縁農(有機農学校)」に参加し、東日本大震災による福島原子力発電所事故をうけての、消費者の食の不安に対する生産者らの試みと、今日における消費者の反応を調査するためフィールドワークを行なった。 具体的なインタビュー調査を行なうための、調査対象者の絞り込みを行なった。 以上と並行し、健康リスクと食に関する文献研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献研究の進捗は予定どおりであり、学会報告において研究成果の一部は公表してきた。また論文執筆準備についても、投稿先が決まり、今年度内発表に向け具体的にすすんでいる。 調査の枠組みについてもめどが立ってきている。インタビューを今後集中的に行うための調査対象者絞り込みについてもほぼ見通しが立っている。 フィールドワークの過程において、健康と食のリスクをめぐる、生産者と消費者共同の新たな取り組み(たとえば日本有機農業研究会による「足立区農業公園」)について参与観察し検討する機会を得た。以上の理由から、達成度については「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、日本マス・コミュニケーション学会および日本社会学会、科学技術論社会学会を中心とした学会報告を視野に入れながら研究をすすめていく。 また、2017年にトロントで開催される国際社会学会での報告エントリー(2016年9月締切)の準備もすすめる。 研究成果を単著にまとめるべく、出版社との交渉をすすめていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生した主たる理由は、2016年においては調査実施のための十全な準備・計画を行ない、その具体的実施年となる2017年度と2018年度に調査研究、およびそれにともなって発生するであろう謝金にあてる予定のためである。これによって、繰越金を含めた予算消化が見込まれる。このことによって研究計画の大幅な変更はない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
具体的な使用計画としては、調査に関わる諸経費、たとえばインタビュー対象者への謝金、テープ起こし、フィールドワークに関連するものが中心となる。
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