A study of Indonesian emigrant workers network and the women's empowerment

2019 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 16K04047
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 横本 真千子 北海道大学, 経済学研究院, 研究員 (70463726)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: ジェンダー / 海外出稼ぎ

Outline of Annual Research Achievements

インドネシアの海外出稼ぎネットワークにおける募集人は、農村において渡航情報を独占しそれを種に出稼ぎの費用をつり上げる存在とみなされてきた。これまでおこなってきた調査では、出稼ぎ経験者が出稼ぎ後に出身農村に戻って募集の活動に新たに加わる例がみられた。出稼ぎ経験者は、渡航先の言語や渡航先の就業状況を熟知し、かつ所有するスマートフォンから海外情報にアクセスすることが可能である。そうしたことから、申請者は、「女性たちは、出稼ぎ後に渡航ネットワークシステムの内側に入り込んでいくことで、女性たち自身が、これまでの出稼ぎ希望者に多くの金銭的負担を強いてきた渡航ネットワークシステムを自らの海外出稼ぎ経験を活用して内側から変革する可能性を有する」という仮説を立てた。本研究において、ジャワの農村で女性出稼ぎ経験者と出稼ぎ希望者の双方に聞き取り調査をおこない、そして農村の募集人と都市の出稼ぎ仲介業者とによって形成された渡航ネットワークを分析することによって、この仮説の実証をおこなった。
本研究において、出稼ぎ経験者による渡航ネットワークの変革と女性たちの農村での活動を検証をおこなったことで、女性の出身農村でのエンパワーメントの過程と女性の出稼ぎ労働が農村にもたらす経済的貢献および社会的貢献を明らかにした。それに加えて、量的拡大を追求するインドネシアの海外出稼ぎ政策にたいして、渡航ネットワークの変革が家事労働者の就業条件および就業環境の改善のために重要であることを提言する。
今後、インドネシアの海外出稼ぎによる女性のエンパワーメントと農村への経済・社会的貢献についての理論の構築をおこなう。