2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K04048
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石岡 丈昇 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (10515472)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マニラ / 強制撤去 / 都市空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、マニラ首都圏全土で過去20年のうちに生じた強制撤去に関する基礎資料を作成した。大学、NGO、現地行政機関を通じて関連資料を収集し、そのデータベース化を実施できた。それらの資料をジェントリフィケーションの視点―すなわち都市空間の階級的改造の視点―から整理し、社会地図の作成をおこなった。これまで強制撤去については、件数をはじめとした数量的区録は残されてきたが、それを「空間」に落とし込んで、どの地区でどのようにそれが偏在しているのかを示す地図の作成はおこなわれてこなかった。こうした研究背景を踏まえて、社会地図の作成をおこなった。これは、都市空間において、どこが資本と住民の対決線となるエリアであるのかを可視化する記録となる。 また、強制撤去の被害を受けた住民の聞き取りデータをトランスクリプト化した。特に再居住地の生活については、世界的にみても記録がほとんどない状態であり、申請者がエスノグラフィーを記録することは貴重な一次資料となる。これらは都市空間から追放された(displaced)人びとの側からの記録となる。統計データと同時に、こうしたファーストハンドの資料を地道に作成することで、現今の都市改造の具体的ありようを考察する基礎となることをが予想されている。 今年度はこのように基礎作業を順調に進めることができた。次年度については、これらの成果を、より学術的観点から捉え返し、論文執筆および国際学会報告のための準備に入っていく。と同時に、研究計画に記したように、関連テーマの国際研究動向との論点のすり合わせをおこなっていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、初年度の基礎作業を進めることができたため。本研究テーマについては、世界的に多数の研究報告が登場してきているため、それらとの関連性を明瞭に位置づけることが、さらなる課題として発展的に登場してきている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画どおりに作業を進めていく。ただし、社会学のみならず、都市計画や地理学の研究分野まで、研究動向を広げて関連研究を押さえていくことができるとさらに論点が深まることが予想される。この点を推進方策とする。
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[Presentation] Living with Insecurity2016
Author(s)
Tomonori ISHIOKA
Organizer
International Sociology of Sport Association Annual Congress
Place of Presentation
the Hungarian Academy of Sciences, Budapest, Hungary
Year and Date
2016-06-10
Int'l Joint Research
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