2018 Fiscal Year Research-status Report
台湾の先行事例に基づくハンセン病療養所の転用可能性に関する実証研究
Project/Area Number |
16K04050
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
城本 るみ 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (60302014)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ハンセン病療養所 / 将来構想 / 地域性 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)ハンセン病関連学会で沖縄愛楽園を訪問したことにより、沖縄が継続的に抱えている固有の歴史、とくに国による沖縄の「放置」や沖縄戦に備えた日本軍による隔離の徹底がハンセン病に対する差別と偏見を助長したという、沖縄におけるハンセン病問題の特殊性を理解することができた。また優生思想による強制堕胎問題の根底に通じる差別構造の問題や自治会構成員の高齢化による継続の難しさがあること、さらに沖縄戦の爪痕についても深く心に残った。米軍統治下の特殊な状況と現在の沖縄の基地問題は、いずれも政府が「外から持ち込んだ」ものであり、それが問題の「不可視化」に繋がっている点でハンセン病問題と構造が同じであることについて理解できた。そのような沖縄に固有の問題が深く理解できたことや、自治会や現地新聞社が発行する現地でしか入手できない貴重な資料を入手できたことも大きな収穫となった。 (2)国立ハンセン病資料館が収蔵している台湾楽生院関連資料、雑誌・新聞や全国の療養所機関紙に収録されている療養所の将来構想に関する記事の比較検討を行い、必要箇所の文献複写を行った。また一般書店では入手困難な書籍や全療協(全国ハンセン病療養所入所者協議会)の扱う資料を入手することができた。関係者からの聴き取りにより、全国の療養所が抱える今後の資料館設置や運営に関する課題についても確認することができ、ハンセン病療養所の将来構想に関する有益な情報を収集できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本人の体調不良および多忙により、海外出張を見送ったため。また眼疾患により、論文執筆に支障をきたしたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
1年間の延長申請が承認されたので、2019年度は台湾楽生院の最新状況を把握するために台湾を訪問し、世界遺産登録に向けた活動状況などを確認する予定。また全国各地に足を運び、現地で療養所の将来構想に関する聴き取り調査や資料収集を進めるため、療養所訪問をなるべく多く実施できるようつとめる。
|
Causes of Carryover |
(理由):体調不良により、海外出張をとりやめたため。
(使用計画):平成31年度は台湾楽生院をはじめ、国内外の療養所を複数訪問し、現地調査を行う計画をたてている。そのための旅費や資料収集の経費として、また収集した資料を整理するための経費として使用する予定。
|