2016 Fiscal Year Research-status Report
地域自治の制度的保障とコミュニティ―上越市と飯田市の比較研究
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16K04053
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
牧田 実 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20229339)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域自治 / 地域自治区 / 住民組織 / コミュニティ / コミュニティ政策 / 制度設計 / 都市内分権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地方自治法にもとづく一般制度としての「地域自治区」に注目し、地域自治すなわちコミュニティ・レベルでの住民の自治の存立条件を2都市の比較研究をとおして明らかにすることによって、地域自治の制度設計に援用しうる知見を得ることを目的とする。地域自治は、住民による組織・活動の水準(「住民自治」の側面)と自治体による制度的保障の水準(「団体自治」の側面)によって、その存立が決定づけられる。本研究では、全国で唯一、地域協議会に公募公選制を導入している新潟県上越市と、地域システムとしての公民館-分館活動の実践を積み重ねてきた長野県飯田市を対象とし、現地での聴き取りとアンケート調査を行うことによって、地域自治を深化させる制度的・主体的条件を定性的・定量的に明らかにすることをめざしたい。 上記の目的を達成するために、初年度である平成28年度は、9月に飯田市、11月には上越市においてそれぞれ現地調査を行い、行政や地域自治区からの聴き取りと資料収集を行ったほか、コミュニティ政策学会(7月)、コミュニティ政策学会地域自治区研究プロジェクト研究会(12月)、日本社会学会(10月)に参加し、研究交流に努めた。また、理論的検討として、「地域自治」に関する多様な分野の内外の先行研究を検討し、「地域自治」概念の内包と特質を再吟味し、理論枠組みの構築に着手した。さらに「地域自治」の制度化の試みに関して、インターネットなども利用して、事例の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の調査として、対象の2都市を訪れ、行政や地域自治区の聴き取りを行うことによって、研究課題にアプローチする今後の作業命題が明らかになったという点で、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、理論研究と現地調査を重ねることで、研究目的の達成を図りたい。
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Causes of Carryover |
旅費が見積りよりもやや安価ですんだこと(約4万円の残額)、物品費を使用しなかったこと(あらたな文献等の購入を要さなかったため。8万円の残額)、謝金の支出を要さなかったこと(3万円)、「その他」の支出を要さなかったこと、以上により、16万円ほどの次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
とくに研究計画を変更する必要のない金額であると判断しており、当初の計画どおりの調査研究を行うなかで、使用する予定である。
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