2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K04057
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 康行 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40170790)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域福祉 / 高齢者 / タイ農村 / 福祉基金 |
Outline of Annual Research Achievements |
北タイ農村のチェンマイ県サンパトーン郡バーン・クラーン区のトンコーク村で調査した。バーン・クラーン区ではすでに2006年にバーンクラーン区地域福祉基金がつくられている。これは、南タイの小学校教師の発案でつくられた「1日に1バーツを積み立てる」という理念に基づいた仕組みの基金である。この基金は会員数が増加しており、成功した事例である。これについてはすでに調査済である。それに対して、これまでバーン・クラーン町では福祉基金は未組織であった。この町で福祉基金の「1日1バーツ」の組織がつくられたのは2015年である。バーン・クラーン町の福祉基金は、バーン・クラーン区福祉基金のように住民の中から自発的な動きによってつくられたものではなく、町長の音頭でつくられたものである。バーン・クラーン町にはバーン・クラーン区から7つの地区が属し、他の3つの区から8つの地区が属しており、合計4区15地区が属している。今回、バーン・クラーン区に属しつつバーン・クラーン町を構成しているトンコーク村を事例にして調査した。 トンコーク村の役員組織をはじめ、村落にある農業者集団や貯蓄組合などの集団の資料を入手して村の構造を知るとともに、これまで実施されてきた「足るを知る経済」の事業などを把握した。併せて、バーン・クラーン町福祉基金の「1日1バーツ」組織の資料を入手し、福祉基金の組織と運営について把握した。自発的に福祉基金を組織しなかった背景を知ることに努めた。さらに、地区外の組織であるサンパトーン農協および同農協の福祉事業について資料を収集した。くわえて、これまで明らかにしてきたバーン・クラーン区福祉基金と今回のバーン・クラーン町福祉基金とを比較し、トンコーク村の特徴を踏まえた上で、バーン・クラーン町福祉基金の組織と活動の特徴を理解することに努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
以前、北タイのチェンマイ県サンパトーン郡バーン・クラーン区のターカーン村で保健婦の活動を調査していたことから、隣接するトンコーク村に調査協力者を得ることができていた。そのため、福祉基金をはじめ、役員組織、村落内集団などの資料収集やインタビュー調査、参与観察で便宜をはかってもらえた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度以降は、北タイ農村から東北タイ農村に調査地を移し、東北タイ農村部において福祉基金の調査をおこなう。対象地にはスリン県シーカラプーム郡バーン・テーン村を選び、調査する予定である。
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