2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Formation of Community Welfare Organizations in Thai Rural Areas
Project/Area Number |
16K04057
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 康行 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40170790)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | タイ農村福祉 / 福祉基金 / 福祉社会形成 / 村落形成 / 農村組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
北タイはチェンマイ県サンパトーン郡バーンクラーン町トンコーク地区、東北タイはスリン県シーカラプーム郡テーン区テーン地区をそれぞれ対象として村落生活と福祉基金を補充調査した。また、それぞれ隣接する区福祉基金を調査した。 これまでタイ農民は顔の見える関係が関係を形成する上で重要であると解釈されてきた。農協や用水組合など、村落を越える組織はすべからく末端の単位が村落(ムーバーン)であり、村落内の知り合いという信頼関係が人びとがつくる組織を支えてきた。タイ農村では、これまで人びとが結びつく契機には次の4つがあった。1つは、親族関係にある場合である。親族は農作業や冠婚葬祭時に相互に扶助しあう関係にある。2つめは、同じ寺院へ功徳を積み(タンブン)に行く人びとである。タンブンは寺院で知り合う機会を成している。これは行政村の範囲とずれている場合がある。3つめは、村や村組の守護霊儀礼である。これは儀礼を介して人びとが集まる契機である。これらは、行政村の範囲とずれていることがあり、重ならないことがある。4つめは、同じ行政村の構成員という資格を有していることである。同じ行政村内で村落基金や協同店等の組織を形成している。これらの組織は利益に基づいて集まる利益集団を成している。 行政村を越えた区レベルの組織である区福祉基金は、福祉基金のサービス内容に関心をもち賛成した人だけが加入しており、加入者は利益によって結びついていた。運用はどこもほぼ同一の内容であった。しかし、中には町長や区自治体の助役が設立を推奨してつくられた福祉基金があり、運営面で彼らが強いリーダーシップを有していた。こうした事例では、彼らの指導で加入の年齢制限がもうけられているケースがあり、村人が自分自身の手で運営していないことが運営面の問題になっていた。このことは、自分たちで福祉基金を運営することが重要であることを示唆している。
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