2016 Fiscal Year Research-status Report
Women and religious civil society in Japan: Implications for participatory democracy
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16K04064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
CAVALIERE PAOLA 大阪大学, 人間科学研究科, 特任助教(常勤) (10769582)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ジェンダー / 宗教 / 社会貢献活動 / 災害支援活動 / 参加型開発 / エンパワーメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「ジェンダーの視点からの宗教団体の社会貢献活動・災害支援活動 ― 参加型開発 (participatory development)と民主化 (democratization) をめぐる」という研究プロジェクトである。目的は宗教団体による社会貢献活動・災害貢献活動と女性の関与、ボランティア活動を通じた女性の社会参加、社会意識の形成、宗教団体が女性の開発や民主化を作るアクターとしてどのように機能しているのかを調査することである。また、この考察を通じて、日常生活における女性の社会参加、社会意識の向上という点についても検討を加える予定である。今年度は、5年間計画の初年度につき、企画通り研究の実地調査に従事した。28年度の主な活動は文献分析;研究会や学会に参加;宗教団体との初対面及び研究目的の説明と研究協力を得ることであった。現時点で調査対象の日本のカトリック教会、天理教、創価学会、仏教慈済会事業基金會日本分會に本研に関する説明を行い協力への同意を得た段階である。引き続き、真如苑と立正佼成会に本研究協力への同意を得る予定である。29年度の主な活動は文献分析、研究会や学会に参加、そして今後の現地調査(宗教教団やグループへの参与観察:研究対象である宗教運動や教団の活動に積極的に参加し、関係者・信者たちへのインタビューを行う)の予定である。本年度の結果の特徴点として次の二点を意識した。1.現代日本宗教におけるジェンダーと社会貢献活動に関する研究は少ない:国内外からの研究を望み、比較研究が必要;2.宗教団体による社会貢献活動では女性がメンバーの大多数を占めるとされるが、地域に根差した宗教団体に属する女性ボランティア数と男女比の割合のどちらにおいても実証的データが全体的に不足している。本研究では調査対象団体でのその実証的データを収集することを1つの大きな目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.本研究は宗教研究とジェンダー研究と社会貢献活動・市民社会研究という3分野に精通し、研究上の交流を行いながら、それぞれの知見を踏まえる上でジェンダー視点からの現在宗教と社会的な役割を解明しようと試みるものである。日本の宗教的背景におけるジェンダーと社会貢献活動に関する研究は進んでいないため、国内外の現代宗教についての研究文献およびジェンダー研究関連書から学ぶ必要がある。 2.宗教学会・「宗教と社会」学会、宗教者災害支援連絡会などでは宗教団体による社会貢献活動報告がなされ、日本の宗教団体において、女性がメンバーの大多数を占め、社会福祉事業、災害後の管理、復興、救助に専念したボランティア活動と共に宗教を母体とするボランティア・グループに広範囲にわたって関わっていると知られる。しかし地域に根差した宗教団体に属する女性ボランティア数と男女比の割合のどちらにおいても実証的データが主に全体的に不足している。これにより関与する女性の人数と関わる活動のタイプを明確にすることが難しくなる。この観点からすると調査対象団体でのその実証的データを収集、分析するには時間が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度の目的は主として以下の5点から研究調査を進展する予定: 1.文献研究: 国内外の現代宗教についての研究文献およびジェンダー研究・宗教による社会貢献活動関連書から学ぶ。 2.宗教教団やグループへの参与観察:研究対象である社会貢献活動に巻き込んでいる女性たちの活動に積極的に参加し、関係者・信者たちへのインタビューを行ってジェンダー視点からの宗教による社会貢献活動を調べる。 3.教団の研究所との情報交換 4.学会・研究会での発表。宗教と社会貢献に関わっている他の研究者とネットワークを作り、データシェーリングや情報交換を行う。 5. 社会との関わりなど。国際・国内セミナー、シンポジウムの開催などを推進し、社会への一般の理解を深めるための講演会の開催や、ホームページの作製、可能ならマスコミなどへの広報活動などを考えている。宗教を母体とする女性の社会貢献活動に対する理解と成果の重要性を認識してもらうよう努力する。
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Causes of Carryover |
28年度に現地調査はまだ予備調査の段階だったため、調査に至る経費(旅費)に未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度から現地調査に積極的に実施し28年度の未使用額は29年以降の現地調査の経費に至ることにしたいです。
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Research Products
(6 results)