2016 Fiscal Year Research-status Report
地域における自営セクターの展開と生活保障に関する調査研究
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16K04072
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
石井 まこと 大分大学, 経済学部, 教授 (60280666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 高志 明治大学, 経営学部, 専任教授 (70404358)
阿部 誠 大分大学, 経済学部, 教授 (80159441)
京谷 栄二 長野大学, 社会福祉学部, 教授 (90195397)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自営業 / 半農半X / 移住 / 新規就農 / 起業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は衰退が続く自営業(自営セクター)に着目し、同セクターが地域社会の持続的発展をもたらす軸になりうるのかを明らかにする。統計上では、若年自営業の減少が顕著である。人口減少による要因に加え、成功モデルの少なさ、就労継続条件の整備が課題として考えられる。研究会を開催し、就農による自立支援に関する知見をもつ長野大の相川氏の協力のもと、特徴ある移住政策を絡めた自営業支援を展開している島根県浜田市、江津市について、ヒアリング調査を行った。農業等での定住支援を行う「ふるさとしまね定住財団浜田事務所」では一次産業や伝統工芸の産業体験を通じた定住化促進について、「島根県西部農林振興センター」では半農半Ⅹという農業以外の就労を組み合わせた独自の就農施策について、ヒアリングを実施した。両者とも定住化に力点を置いて予算を確保し、新規就農者の確保や多様な就労先紹介を組み合わせ、地域と移住者両ニーズのマッチングをきめ細かく行っていた。一方、隣接する江津市においてはビジネスプランコンテストを軸に地元での起業家育成をNPO、民間企業、行政、市民が連携して実施している。特に行政の起業家支援力が高く、過疎地域に若年起業家のUIターン者を呼びよせている。支援の中核組織「NPO法人てごねっと石見」を軸に、起業家同志が顔の見えるネットワーク下にある。地域内での人的ネットワーク形成が一過性に陥らないよう、新規参入者に対し、既参入起業家や地域金融機関や行政が支援する仕組みを作りあげている。古民家宿泊所を開業した起業家のインタビューでは、成功要因として、行政との関係がフラットで対等であること、および人的ネットワークにより起業の障壁を低くできているとしている。地方における自営業の展開において、地方行政、地方金融機関、NPOが対等な関係で事業支援を行うこと、特に人的ネットワークの活用・維持が重要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は2回の研究会および島根県での実態調査を実施した。当初は大分県内の調査を行う予定であったが、研究会での検討をふまえ、自営業支援が充実している島根県を先行して行うこととした。実態調査後のフォローアップの研究会の開催は行えていないが、次年度最初の研究会にて実施することで対応できる。以上により、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、中部(長野)および九州(大分)の自営業展開とその支援方策について、事例調査を行う。なお本年度の島根県について、行政が果たす自営業育成の役割を明らかにするため、再度の調査を行う。このため次年度予定していた東北(山形)を対象とした調査はは一旦先送りとする。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] 地方創生の目的論2016
Author(s)
中澤高志
Organizer
経済地理学会第63回大会
Place of Presentation
九州大学(福岡県福岡市)
Year and Date
2016-05-28 – 2016-05-28
Invited