2016 Fiscal Year Research-status Report
在日朝鮮人における<民族>と<祖国>の意味に関する社会学的研究
Project/Area Number |
16K04085
|
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
山本 かほり 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (30295571)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 在日朝鮮人 / 祖国 / 朝鮮学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は2015年度までの研究の蓄積を踏まえつつ,再度,愛知朝鮮中高級学校の高3の<祖国訪問>への同行調査を行った。学内,学会の都合上,生徒たちよりも5日遅れの平壌入りとなったが,それでも,生徒たちの平壌での様子は十分に観察できたと考えている。日本に戻った生徒たちのフォローもすべく,愛知朝鮮中高級学校での不定期な参与観察も続け,日常生活の中で,平壌での2週間をどのように解釈しているのかを観察し,記録した。 2016年度は韓国での学会報告(チェジュ大学,ソウル大学,北韓大学院)を3回行い,在日朝鮮人学生にとっての<祖国>の意味は何かということを考察した発表を行った。分断国家の一方である韓国の学者からのコメント,反応は今後日本国内での発表を行うにあたっては,いい刺激と参考になったと考えている。 日本国内の発表としては,ヘイトスピーチ法の成立と関連させて,在日朝鮮人へのヘイトスピーチを生み出すものは何かということを考察した口頭発表を移民政策学会にて行い,日本社会に存在する<北朝鮮嫌悪>を批判的に考察しつつ,そこから翻って見える在日朝鮮人学生たちの考える<祖国>観について考察した。それは現在,移民政策学会の学会誌に掲載される予定で印刷中である。 そのほかは,朝鮮訪問の経験がある人たち(日本人を含めて)にインタビューを行い,学生たちがみる<朝鮮=祖国>の姿をどのように解釈すべきなのかについてのコメントやアドバイスをいただいた。それは今後の分析に活かしていく予定である。 また,2月には再度訪朝して,愛知朝鮮中高級学校の生徒たちを受け入れる海外同胞局,および姉妹校のチャンドク学校を訪問し,担当者へのインタビューを行い,朝鮮からみる祖国訪問の意味についてのインタビューを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記した内容(愛知朝鮮中高級学校での参与観察,関係者へのインタビュー,および朝鮮への修学旅行(祖国訪問)への同行調査などはある程度順調に進展したと考えている。また,2017年度に行う予定だった朝鮮での受け入れ機関へのインタビューも2016年度中に行うことができた点は計画よりもすすんだと考えている。しかし,日本国内でのインタビューに一部遅れがあり,また,そのデータ処理に少し時間がかかっていることから,(2)と自己評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度,2回の朝鮮訪問を計画中である。愛知朝鮮中高級学校高3の祖国訪問のフル同行,および補足調査として8月末に出かける予定である。また,継続して朝鮮学校関係者へのインタビュー,参与観察なども行っていく予定である。8月上旬になる国際高麗学会での発表(決定),11月の日本社会学会での発表を計画している。
|
Causes of Carryover |
旅費に若干の差額が生じたため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費の一部として使用する。
|