2016 Fiscal Year Research-status Report
伝統的皮革業集団の多文化比較におけるディスコース分析の可能性
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16K04098
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
西村 祐子 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (80276451)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ジェネレーションX / 被差別部落 / 客家 / ユダヤ人 / 革の道 / ディスコース / 皮なめし / ミレニアル世代 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究成果を一般むけに8回にわたって解放出版社の機関誌に連載し、いままでにないコミュニティへの新たな視点を提示し注目された。成果の一部をつかった著書を2017年3月に出版し、書評でも高評価をえた。変化しつつある被差別部落コミュニティにおけるディスコースが特に「伝統的皮革業の職人アイデンティティの形成」にむかいつつあることを研究者としても再確認した。 兵庫県立歴史博物館、たつの・姫路の若手皮革製作者グループとの連携が深まった。たつの市会議員、タンナーズ協会などと英国ロンドン市leathersellers 協会ギルドとの国際交流の道を開拓し、英国の共同研究者Mike Redwood博士らとともに、2017年9月18日に同協会ギルドホールにおける「Japanese Leather」に関する特別セミナーを開催することが決定した。セミナー内容などをRedwood博士らとともに専門学会誌SLTCのなかにそれぞれ英語論文として3回程度まとめることが決定している。また、それを編集して2019年度までに英国で出版することを計画している。国内においては伝統的皮革業の比較文化史という視点から、海外の事例も含めて「新書」への執筆を依頼されている。研究テーマのなかで「仮説」として提案した日本の伝統的皮革づくりコミュニティと一般コミュニティからの皮革産業への参入者との連携は妥当であるという評価を得た。また、著書のなかで示したユダヤ人コミュニティと皮革のつながりについては新たな視点を提供したという好評価をえており、今後も研究を続けていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
姫路、たつの市における地域史・皮革史専門家(のびしょうじ氏)の協力がえられたこと、地域社会のリーダーたちが協力的であること、今後皮革の資料館、博物館などをコミュニティがたてたいと思っており、海外(特に英国)との国際交流の機運があること、東京でも専門家が協力的であること、皮革の歴史を知る企業なども協力体制をもっていること、英国の共同研究者(Mike Redwood氏)との連携が密であること、英国の皮革専門ギルドが学術交流その他に積極的であること、日本国内の出版社(解放出版)その他が出版に対して意欲的、協力的であること、従来の「解放運動」主体ではなく、「アイデンティティ」、「誇り」をみいだそうというあらたなディスコースがすでに芽生えつつあるため、本研究がそのさきがけのひとつとなりうること。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 9月18日に予定されている英国でのセミナーを通じた国際交流の一層の活性化による国内の「グローバルな視点からの皮革研究」を学術的に推進できるような母体づくりを模索する(具体的には総研大などの大学院大学機関、県立博物館、企業内資料館などとタンナーズ協会を繋ぎ、本研究でつけられる道筋をつかった日英交流による皮革コミュニティの比較史研究、皮革技術史、皮革美術史などを含む大きな流れによる皮革コミュニティの「職業アイデンティティ」の形成をサポートしていく。 2.上記1に基づくスタンスにより、英語、日本語でのアカデミックな発信(英語)、一般への啓蒙(日本語)として著書(共著、単著)を数多く出版していく。
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Causes of Carryover |
2017年度9月には海外現地調査としてイタリア(サンタクローチェ)を訪問したのち、英国(ロンドン)のleathersellers guild hall にて特別セミナーを共同研究者らとともにおこなう予定であり、日本の研究協力者を同道する予定である。そのための費用を初年度で若干残し、次年度に繰り越すことで乗り切りたいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4-9月:東京とその周辺での研究調査、セミナー開催 資料収集:20万円 5-8月:発表資料作成(ビデオ):10万円9月:イタリア、英国調査研究およびセミナー発表出張:90万円(同行者1名)12月:共同研究者来日、東京および姫路市におけるセミナー開催:70万円 1-3月:論文(英語)執筆、追加調査、英文校正など:30万円
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Research Products
(10 results)