2017 Fiscal Year Research-status Report
産業遺産の記憶と“生きられた”生活世界の社会学:足尾の生活文化史聞き取りから
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16K04103
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
好井 裕明 日本大学, 文理学部, 教授 (60191540)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生活文化史 / 聞き取り調査 / 産業遺産 / 地域・文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、昨年度から引き続き、私だけでなく調査協力者2名で調整をし、足尾に出かけ、具体的な聞き取り調査および資料収集などのフィールドワークをすすめた。4月、6月、8月に3回調査を実施し、合計で10数名の新たな対象者から足尾銅山をめぐる体験や記憶だけでなく生協を利用する日常の暮らしのありよう、不当解雇の裁判闘争の実際など生活文化史をめぐる貴重な語りを収集した。 その後、10月に日本大学において研究会を実施し、これまでに得られた語りの内容や聞き取り調査でのさまざまな経験や印象をもとにして、どのように調査成果をまとめていくのかを議論した。ただ学術的な論文や報告書としての成果だけでなく、足尾地域で生活を続けている多くの高齢者に対して、意味ある形で、どのように成果を還元できるかをも議論した。 そのうえで、11月と12月にさらなる聞き取り調査を足尾で実施した。並行して、昨年うかがっている逗子在住の郷土史家の自宅へ再度うかがい、聞き取りを実施した。郷土史家の男性は80歳を超えられているが、私たちの科研調査への協力も約束してくださり、最終年度で作成する予定の冊子に彼のインタビューをもとにした内容を掲載することも快諾された。こうした了解が得られたことは、本調査にとって大きな意義がある。 聞き取り調査やフィールドワーク以外の時間では、調査協力者にお願いし、聞き取りの録音起こし作業を進めているが、その作業も順調に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は、新しい街おこし協力隊のメンバー2名が日光市において採用された。科研調査と彼らとの連携がとてもうまくいっており、私たちの問題関心に見合う聞き取り対象者との出会いも円滑に行えている。結果として、予定通りの聞き取り調査が実施できているので。また聞き取った語りを起こす作業も順調に進められているので。
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Strategy for Future Research Activity |
科研の最終年度となる今年は、これまでの聞き取り調査の成果をもとにして、6月に足尾で調査成果をまとめるための研究会を実施する予定である。その後、私と調査協力者でトピックを分担し、まとめの冊子を製作する予定である。この冊子は、学術研究者に配布するだけでなく、現在足尾に住まわれている多くの高齢の人々に対して、読んでもらえるよう、公民館などにも多くの部数おいてもらう予定である。
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Causes of Carryover |
2017年度予算には録音起こし謝金を組み込んでいたのですが、調査協力者による作業が年度内で終了せず、謝金相当額を次年度に持ち越しています。しかし2017年3月にはすべて作業が完了し、今年度の4月に執行予定です。
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