2017 Fiscal Year Research-status Report
労働争議の「主体」形成と文化に関する歴史的研究―近江絹糸人権争議の検討
Project/Area Number |
16K04104
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
梅崎 修 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (90366831)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 労働史 / 労使関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
調査・資料整理と、論文作成を同時に進めた。第一に、調査報告に関しては、近江絹糸人権争議のリーダーであった朝倉克己氏のオーラルヒストリーを小見出しをつけたり、本人確認をし、読み易いように編集して報告書を作成した。現在は、労働史オーラルヒストリーアーカイブ(大阪産業労働資料館)にて、報告書の内容と映像の公開を作業中である。オーラルヒストリーを公開することによって我々以外の研究者が資料批判ができるようにした。 また、新たに発見された近江絹糸人権争議の文書をリスト化した資料紹介として刊行した(「辻保治コレクション一覧(2):近江絹糸紡績労働組合資料」『生涯学習とキャリアデザイン』15(1),pp.43-52(2017年)(島西智輝、南雲智映、谷合佳代子、下久保恵子との共著))。この新資料に関しては、必要箇所をpdf化して、東京でも読めるようにしている。なお、新たに労働組合リーダーの日記資料が大阪産業労働資料館に寄贈された。この資料の整理方針を検討した。 さらに、2016年度に訪問したScottish Oral History Centerの視察記録を「〈資料紹介〉英国におけるオーラルヒストリー(5) : Scottish Oral History Centreの活動」『生涯学習とキャリアデザイン』 15(1), pp.213-222(2017年)としてまとめた。 次に、実証研究については、大阪にて資料検討会を数回行い、多くの労使交渉の中でも人権争議直後の賃金体系交渉について分析を行うことになった。 2018年1月27日に大原社会問題研究所の月例研究会で「近江絹糸人権争議直後の賃金体系をめぐる労使交渉-性別の違いに焦点を当てて」として報告し、歴史研究者のコメントを受けた。なお、この報告内容を改訂し、6月の日本労務学会大会で報告予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学紀要によって、資料の公開を行い、研究会での論文報告を行った。ただし、文書資料をすべて読めていない。新たに発見された資料の整理と読解は今後の課題である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究会報告に続いて、2018年では、学会大会で報告を行い、年度内に投稿したいと考えている。研究会報告によって参加者から貴重なコメントを貰っているので、それらを考慮して資料を読み解く必要がある。
|
Causes of Carryover |
近江絹糸紡績労働組合の上部団体であるゼンセン同盟の組合リーダーのインタビュー記録の公開を計画していたが、年度末の印刷が間に合わなかった。2018年度には印刷する予定である。
|