2018 Fiscal Year Research-status Report
出産・子育て期の女性の就業キャリアと転職の経済的ペナルティに関する研究
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16K04107
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
西村 純子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (90350280)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再就職 / 賃金 |
Outline of Annual Research Achievements |
女性の就業やキャリアに関して、前年度の成果を継続的に発展させるとともに、出産を経た再就職の経済的ペナルティに関する分析をおこなった。 女性の就業キャリアに関しては、出産を経た最初の再就職に関して、前職と同じ職種か・異なる職種かと、正規雇用か非正規雇用かの観点から4つのパターンに分類した。すなわち、「前職と同じ職種で、正規雇用」「前職と同じ職種で、非正規雇用」「前職と異なる職種で、正規雇用」「前職と異なる職種で、非正規雇用」の4つである。これら4つのパターンの生起が、どのような要因と関連しているかを検討した。分析の結果、出産後再就職までの中断期間が長くなると、「前職と同じ職種で、正規雇用」で再就職する確率が低くなり、「前職と異なる職種で、非正規雇用」で再就職する確率が高くなること、前職が専門職である場合には、「前職と同じ職種で、正規雇用/非正規雇用」で再就職する確率が高くなること、1980年代生まれは、1960年代生まれに比べて、「前職と同じ職種で、正規雇用」および「前職と異なる職種で、非正規雇用」で再就職する確率が、ともに高くなっていることが明らかになった。 出産を経た再就職の経済的ペナルティに関しては、出産した女性を対象に、時間当たり賃金について、就業継続者と再就職者の比較をおこなった。分析の結果、就業継続者と比べて再就職者の時間当たり賃金は、再就職後の経過年数の中で差が縮まってはいくものの、再就職後10年以降においてもなお、低い水準にとどまっていることが明らかになった。就業継続者と再就職者の賃金の差が、どのような要因によって条件づけられるかについては、さらに検討していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
女性の就業キャリアの分析に関して、前年度からの成果をふまえて、継続的なデータ分析をおこなうことができた。転職の経済的ペナルティについては、出産後の再就職の経済的ペナルティに関する分析課題を設定し、データ分析を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
出産後の再就職の経済的ペナルティに関して、日本の女性についてのデータ分析を進めるとともに、国際比較研究をおこない、研究を総括する。
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Causes of Carryover |
国際学会の開催地が、比較的近接地であったこと、英文校閲の費用が発生しなかったことにより、次年度使用額が生じた。それらは、次年度における国際学会での研究発表、国際的な学術雑誌への投稿等に使用する。
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