2019 Fiscal Year Research-status Report
日本と台湾の油症被害者の受容克服過程と救済制度、環境運動の比較環境社会学的研究
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16K04109
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
堀田 恭子 立正大学, 文学部, 教授 (20325674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田 和子 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (90733551)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 油症 / カネミ油症 / 健康実態調査 / 食品公害 / 制度構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も引き続き量的調査実施のための既存の量的調査の研究に終始した。厚労省による「油症患者に係る健康実態調査」が2008年に実施された。さらに2013年から2019年現在にわたり「カネミ油症健康実態調査」(以下、健康実態調査と略)が継続して実施されている。この健康実態調査に焦点をあて6年間にわたる調査結果の経年変化をみることで油症患者の健康状態の実態を明らかにすることを試みた。厚労省は単年度ごとに性別や年齢別等による分析は行っているが、経年変化的な分析はおこなっていない。ただし当該年度の前年度のデータには言及している。 また認定されている患者が調査票の回答者であり2世3世を含む未認定患者は調査対象者外である。かなり限定的なデータではあるものの一方で油症患者の被害の実態を経年変化で確認できるデータでもある。政府にとってはカネミ油症患者対策の一つの基礎的なデータとして位置付けられる。 次に被害の実態を捉えた調査と政策の関係、すなわち6年にわたる調査結果の確認とともに、それらの結果はどのように政策に生かされているのかも検討した。つまり政策形成におけるデータの蓄積の重要性を考察した。油症患者の被害の実態データとしてどういう視点から蓄積すべきか、そのための調査項目、設計はどうあるべきかの検討にもつながる。このことは当事者を含む関係各主体にとってどのような調査票設計が効果的な政策を生み出すのかを考える端緒となる。 最後に上記の調査結果が、油症患者に対する対策および救済制度政策等に対して、どのように反映されているかも検討した。平成25(2013)年から始まったカネミ油症患者、カネミ倉庫、厚労省で構成される三者協議と、平成27(2015)年から資料が公開されている「カネミ油症行政担当者会議」、さらにカネミ油症被害者支援センターが発行しているニュースレターを参考に、調査と政策の関係性をみた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
二次分析はだいぶ進んできたが、台湾油症との比較調査、日本における量的調査の調査設計に関しては、資料整理・データ整理に時間がかかり、結果的に遅れてしまった。さらに台湾油症調査で、法政策を専門としている研究者との関係性は構築できたが、実際に調査をする段階で、新型コロナの感染拡大状況により、現地を訪問できなかったということも一つの理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の台湾調査が実施不可能となったため、今年度は台湾調査を実現させ、台湾での資料収集をもとに日台の量的調査分析を進める。しかし今年度も台湾での現地調査が不可能となった場合には、web上で調査対象さとのやりとりを模索し、できる範囲での最新の資料収集を試み、それらをもとにして、研究を進める。
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Causes of Carryover |
当該年度において台湾での現地調査を予定していたが、新型コロナの感染状況が拡大し、断念せざるをえなかった。すでに調査対象者に連絡をとり調査日も確定していたので、今年度も同じように現地調査にかかる費用として旅費や通訳代、資料収集などの経費として計上した。
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Research Products
(1 results)