2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K04116
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小黒 純 同志社大学, 社会学部, 教授 (00388167)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会派ドキュメンタリー / オーラルヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
聞き取り調査の対象となる、ドキュメンタリー作品を選定した後、制作の中心を担った人物にアプローチし、承諾を得られれば、聞き取り調査を行う日時や場所を決めるというプロセスを経て、順次、実際に聞き取りを行ってきた。合計15人の聞き取り調査を、2017年度末までに終えることができた。具体的には以下の通りである。 西村秀樹(近畿大学)と辻一郎(大手門大学)と小黒の3人が1つのチームのような形をつくり、作品づくりを深く掘り下げる聞き取りを行った。その全てを、ICレコーダーで録音するとともに、2台のビデオカメラで撮影した。聞き取りの対象者は、これまで社会派ドキュメンタリーで実績を重ねてきた方々である。ご協力いただいた方々は次の通り。 後藤篤志 氏(元北海道放送)、溝口博史氏(北海道放送専務)、岸本達也氏(元静岡放送)、阿武野勝彦氏(東海テレビ)、三上智恵氏(元琉球朝日放送)、右田千代氏(NHK)、原憲一氏(山陽放送)、曽根英二氏(元山陽放送)、里見繁氏(元毎日放送、関西大学教授)、佐々木聡氏(山口放送)、七沢潔氏(NHK放送文化センター)、伊東英朗氏(南海放送)、土江真樹子氏(元琉球朝日放送)。 2018年度はとりわけ、聞き取った録音データをテキスト化する作業(いわゆるテープ起こし、文字起こし)を集中的に行った。そして、オーラルヒストリーという形にしていくためには、話者(インタビューイー)の言い回しをなるべく残しつつ、理解しやすいように最小限の編集作業が必要となるため、時間を十分に掛けざるを得なかった。オーラルヒストリーを完成させためには、話者本人がテキストの内容に誤りがないか、確認する作業が必須となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに行った聞き取り調査分も含め、研究協力者の献身的な努力によって、いわゆるテープ起こし作業を本格的に進めてきた。そして2019年3月までに、全てのテキスト化が完了した。聞き取り時間にもよるが、1人当たり5万文字から6万文字が平均的な分量である。 こうした研究の成果の一部として、2018年9月に東京家政大学で開かれた日本オーラル・ヒストリー学会において、「社会派TVドキュメンタリーの成立過程の研究、沖縄返還密約をめぐる『メディアの敗北』の研究」と題し、研究発表を行った。 しかし、本文中に必要な注を付けたり、作品の紹介、年表なども付す作業まで手を付けることができなかった。研究者の在外研究期間と重なり、物理的な制約があったことも、その一因となったと言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
文字起こし(テープ起こし)に続くインタビュー原稿の整理と校閲、インタビ ューを受けた側の点検を順次行っていく。そして、ていねいにオーラルヒストリー化していくプロセスを来年度中に完成させる。 今年度から来年度に持ち越すことになった、本文中に注を付ける作業や、年表や作品紹介の作成、聞き取りを終えてのコメント、全てをまとめる総括なども、計画通り順次行っていく。テキスト化された分量は、聞き取り調査対象者1人当たり約5-6万字に上るため、成果を書籍などの形で出版する場合は、これを半分以下に圧縮するという課題がある。重要部分は残し、語り口調まで残す一方、ドキュメンタリー制作過程に間接的にしか関わらない部分は、断腸の思いで削らざるを得ない。 上記の成果の一部は、2019年中にも、日本オーラル・ヒストリー学会などでの報告・発表を想定しており、多角的な視点からの批判を仰ぎたい。(既に発表することが学会側から承認されている)
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Causes of Carryover |
今年度は本研究を着実に実行し、一定の成果を上げてきた。例えば、いわゆるテープ起こしは全て完了した。また、学会発表などを行った。しかしながら、研究者が丸1年間、在外研究に入ったため、国内における研究の実施において、物理的な制約が生じた。そのため、予算の執行を見合わせ、2019年度を本研究の最終年度として、仕上げることにした。具体的には、インタビュー調査によって聞き取った内容を既にテキスト化したが、これらを整理し、オーラルヒストリーに仕上げるプロセスが残されており、そこにかかる経費に予算を充てる計画である。
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Research Products
(1 results)