2019 Fiscal Year Research-status Report
黎明期広告業界誌『プレスアルト』広告現物全調査に基づく関西の広告史研究
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16K04117
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
竹内 幸絵 同志社大学, 社会学部, 教授 (40586385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 守弘 京都精華大学, デザイン学部, 教授 (10388176)
熊倉 一紗 京都造形芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (40645678)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 広告史 / デザイン史 / 歴史社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は前年度までに構築した2つのデータベース(作品データベースと解説冊子体のためのデータベース)を、研究分野の異なる10名の研究者に公開し、これを探求することを目的とした「プレスアルト」データベース利用共同研究会」を開催した。メンバーのみが参加する非公開形式の研究会を上半期に5回行った。この研究会の成果をまとめ、10名の研究者の共著として成果報告書を刊行した。同書には6000余点の当科研の資料のうち、各研究者が重要と判断した計約350点を精細写真で撮影したものをカラーで掲載した。また掲載したすべての広告作品に対して来歴情報と研究者による解説と考察を掲載した。またこの報告書とは別に学術雑誌に当該資料に関する論考を掲載した。 「プレスアルト」データベース利用共同研究会参加者は以下の通り。 松實 輝彦(名古屋芸術大学)/佐藤 守弘(京都精華大学)/熊倉 一紗(京都造形芸術大学) /植木 啓子(大阪中之島美術館) /村瀬 敬子(佛教大学)/石田 あゆう(桃山学院大学)/輪島 裕介(大阪大学)/ 北廣 麻貴(同志社大学社会学部メディア学科) /寺本 美奈子(凸版印刷印刷博物館) 『開封・戦後日本の印刷広告 『プレスアルト』同梱広告傑作選〈1949-1977〉』(創元社)竹内幸絵編著、竹内担当執筆箇所「第1章 『プレスアルト』というタイムカプセル」(pp.6-17)、「第7章 百貨店広告 百貨店という文化装置の戦後――広告から見えるもの」(pp.92-123)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に記載の通り今年度は研究の集大成として共同研究チームによるプレスアルト研究会を開催した。ここでは前年度までに構築し学術用サーバーでの運用を開始した当該資料データベースを全面的に活用した。データのみならず原資料をメンバーで直接調査する機会も設けた。研究分野の異なる研究者がそれぞれの研究興味から考察を深め、多角的な戦後日本の広告研究を行うことが出来た。この成果をもとに、当科研の最終的な成果のひとつともなる『プレスアルト』作品図録報告書を出版することができた。またこれとは別に本研究の成果を学術雑誌に掲載した。 当科研のこれまでを振り返ると、資料整理と調査に基づくデータベースの構築(初年度から4年目まで)、一般市民の来場を得る展覧会の開催(2年目)、成果となる書籍の出版と学会発表(3年目と4年目)、学術雑誌での論考発表(4年目)と順に推進してきた。当初予定していた研究計画をすべてを実施することが出来た。進捗は順調といえる。これらの成果により、まだ研究の途についたばかりである戦後日本の広告に関して、そのデザインの実際や当時の思想や思考、デザイン資源の意義を研究することができたと考える。 今後の課題としてはデータベースをより見やすい形式に再構成する点がある。現時点ですでに研究者が利用が可能な形式ではあるが一般に見やすいとはいえない。この整備を2020年度に実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
当該科研では2つのデータベース(作品データベースと解説冊子体のためのデータベース)を構築してきたが、最終年度ではこのうち作品データベースをより見やすい形式に再構成する。この再構成にあたっては、2019年度に刊行した成果報告書に対する各方面からの意見を聴取し、反映させた、学術研究用途に資するデータ形式への変更を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
データベース再構築の予算が次年度に繰越となった。理由は以下の通り。データベースの再構築に際しては、研究成果を広報する目的で出版した成果報告書に対しての多方面からの意見を聴取したうえで、これらの意見を反映させる必要があると考えた。報告書の刊行は2020年3月となった。これに対する意見聴取には2,3か月を要する。よってデータベース再構築のための予算を2020年度に繰り越し再構築の事業を2020年度に実施することとした。
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Research Products
(4 results)