2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Creation of Citizenship for Immigrants: A Case Study of a Multi-ethnic Village on Lake Albert in Uganda through the Dwelling Perspective
Project/Area Number |
16K04126
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
田原 範子 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (70310711)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | モビリティ / シティズンシップ / 移民社会 / アフリカ大湖地域 / 石油資源開発 / 慣習地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、トランスナショナルな移民の動態、国境を越えて「つながる」ネットワークの活用を明らかにし、モビリティの基底にある社会的政治的なメカニズムを解明すること、そしてそれにより、多民族「共生」を可能とする原理、多様な人びとが共に生活するためのシティズンシップ概念を探求することであった。研究方法として、全期間をとおしてフィールドワークとアーカイブワークを実施した。 平成28年度は、政治経済的な状況によって移動した人びとが共同体に対してもつ帰属意識は、感情的で偶然的な産物でもあるとの示唆を得た。平成29年度は、移動のなかで変容する儀礼をとおして、育まれるネットワークをリチュアルシティズンシップと名づけ、その概念の有用性について議論を行った。平成30年度は、シティズンシップのはく奪経験に焦点をあて、日本社会におけるハンセン病の人びとが、国家権力による強制的な隔離政策の中で実践した多様なモビリティを明らかにした。 最終年度は、シティズンシップの根源である土地に焦点を当てた。現在、アルバート湖岸では、土地をめぐる裁判が進行中である。アルバート湖底の石油は、2010年代以降、採掘が進められ、道路網が急速に整備された。しかし、石油採掘・道路整備のために行われた賠償金の支払いは、当該地域の土地にかんする所有と使用の観念に変更を迫るものであった。従来、この地域は、ニョロ系グング人のクランが所有・使用する慣習地であり、移住者たちは、クランによる承認により、土地の使用権を得てきた。つまり土地は個人的な所有物ではなかった。個人名やグループ名で土地を「合法」的に登録し、居住者が知らないうちに賠償金を得る者がでてきた。石油会社の賠償金が、土地所有の観念に変更を迫ったのである。裁判をとおして、慣習地をめぐってどのような合意形成がなされるのかは、今後の課題として残された。
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Research Products
(4 results)
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[Book] Citizenship in Motion: South African and Japanese Scholars in Conversation2019
Author(s)
Itsuhiro Hazama, Kiyoshi Umeya, Francis B. Nyamnjoh, Anye-Nkwenti Nyamnjoh, Claire-Anne Lester, Ayanda Manqoyi, Tamara Enomoto, Toshiki Tsuchitori, Noriko Tahara, Gaku Moriguchi, Olivia Joanes, Kongo Minga Mbweck, Zuziwe Nokwanda Msomi, Msakha Mona, Marlon Swai, Harry Garuba
Total Pages
442
Publisher
Langaa RPCIG
ISBN
9789956550685
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