2017 Fiscal Year Research-status Report
米国におけるアジア系移民者の政治参加を支える移民団体に関する比較社会学的研究
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16K04128
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
魯 ゼウォン 天理大学, 国際学部, 教授 (30303572)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コリアンタウン / 在米コリアン / 政治参加 / ニューヨーク / コミュニティ委員会 / 下関市 / 中核市 / 釜山市 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の実績はニューヨーク市における在米コリアンの政治参加をコミュニティ委員会という都市内分権制度と関わらせて論文としてまとめている。この論文を踏まえて、アジア系移民の政治参加という視点から台湾系や中国系との政治参加の実績についての電話調査を行い、アジア系の政治参加について重点をおいて調べた。その結果、アジア系移民による政治参加は、韓国系、台湾系、中国系の3つのエスニックグループの関係によって左右されていることが分かった。政治参加が進んでいる台湾系は、韓国系と連携しながら、アジア系の利益を求めている。しかし、近年、中国系の台頭によって、3つのアジア系移民者の政治参加が複雑化しつつあるという新しい傾向がみられている。今後、在米コリアンを踏まえて、アジア系移民との政治参加の現状を見ていく必要があろう。 こうした米国のコリアンタウンと比較するために、下関市のコリアンタウンと釜山との交流に重点をおいて、調査を実施した。下関市の在日コリアンという人的資源に加えて、関釜フェリーを通じた人々の交流が進んでおり、とくに釜山との都市交流が進んでいるという特徴をもつ。2017年は下関市と釜山市が関わって、「朝鮮通信使」の世界遺産が登録された。これによって、日本において、朝鮮通信使とゆかりをもつ地方自治体との交流も生まれてきた。朝鮮通信使をめぐって、韓国釜山と日本との交流が地域再生の資源として機能しているという可能性に着目して、今後の研究課題として、日韓の自治体交流に関する現地調査を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
在米コリアンの政治参加の実態をコミュニティ委員会という都市内分権制度を関わらせて調査内容を論文としてまとめている。調査対象者との信頼関係も持続しており、米国での調査は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の本研究課題は、①米国におけるアジア系移民の政治参加の実態、②日本における朝鮮通信使の交流の現代的意味についての補充調査を行う予定である。とくに、①のアジア系移民調査については、台湾系の移民者に焦点をおいて、韓人移民との関わりについて調べる予定である。なお、調査結果を論文としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
その理由は、ニューヨーク市調査対象者との面接約束が取れなかったため、調査計画を見送ったことである。
使用計画については、米国のニューヨーク、日本の下関市、韓国の釜山市・ソウル市への現地調査を行う予定である。
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