2016 Fiscal Year Research-status Report
香港で社会運動に参加したインドネシア人家事労働者の帰国後のライフコース選択
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16K04129
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
澤井 志保 天理大学, 国際学部, 講師 (40636453)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 質問票調査 / 社会学 / 社会運動 / 国際移住家事労働者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、香港で働いた経験のあるインドネシア人家事労働者についての聴き取り(質問票調査)の準備作業を行った。具体的には、本研究に関連する先行研究の文献調査(香港、米国)、質問票調査の参加者探し(香港、インドネシア)、調査地での下調べのための現地調査(インドネシア)である。 まず、2016年8月に、アメリカ・シアトルで行われた米国社会学会研究大会に参加し、当該研究分野についての情報収集とともに、アメリカの大学所属の移住労働とジェンダーを研究する社会学者と、本研究の枠組みについての意見交換をおこなった。11月には、香港にて短期文献調査を行いながら、現地のインドネシア人家事労働者コミュニティのリーダーに面会し、本研究のおこなう聴き取り調査の聴き取り対象者の紹介をお願いし、快諾を得た。その上で12月にインドネシアに渡航し、香港から帰国した家事労働者の社会組織に連絡を取り、こちらにも質問票調査の協力者の紹介をお願いした。上記香港とインドネシアでの協力依頼が円滑に実を結び、2名の調査協力者を通して、2017年初頭には90名の調査結果を得ることができた。調査結果についてはSTATAで分析し、一般的な傾向を把握した。 このように調査が予想外に順調に進んだのを受けて、2017年3月には、インドネシアに再度出張し、上記90名の調査回答から10名に対して追加インタビューを行い、聴き取り結果の内容を確認した。また、同月に香港にて、インドネシア人家事労働者組織関連のイベントに出席し、追加の情報収集を行った。 上記のような調査実績より、本年度においては、日本社会学会、日本インドネシア学会にて単独研究発表を行った。また、学術雑誌『インドネシア 言語と文化』に論文を1本、『南方文化』にて書評を出版するという研究実績を出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要にもあるとおり、当初の計画では2016年度には質問票調査の準備作業を予定していたが、調査参加者の確保が予想外に順調に進んだため、質問票調査の回答を一定数獲得することができた。したがって、2017年度には獲得したデータの分析とともに、さらなる疑問点を踏まえて追加調査が行える状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度に予定していた質問票調査が2016年度中に実施できたため、2017年度には、本来は2018年度に予定していた学会発表や出版を前倒しして実施できるように努力する。ただ、2016年度中に行った調査結果のみで満足するのではなく、それを引き続き2017年度に再検討、再分析することにより、新たな問題点を洗い出し、必要な場合は追加調査を行い、さらに明確な調査結果へと結び付けたい。そのためには、2017年度中にもできるだけ学会発表や論文執筆を通して2016年度中の質問票調査結果を再検討し、研究結果として磨き上げていく予定である。
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Causes of Carryover |
2016年度中の調査が予想外に順調に進捗し、2017年度に予定していた質問票調査の一部を前倒しできることになったため、そのための調査費用を前倒し請求したが、年度末時点で若干の残額があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の残額は、2017年の現地調査費用にそのままスライドさせる予定である。本来が2017年度に使用予定であったため、繰り越されても研究計画には何の不都合も生じないと考えられる。
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