2016 Fiscal Year Research-status Report
対話で創る公私連携の地域づくり-家族間の高齢者虐待を予防するために-
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16K04145
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
梅崎 薫 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (50320891)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者虐待 / 家族間暴力 / 予防 / 修復的正義 / 対話 / 社会的孤立 / 生活困窮者支援 / 地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画どおり親世代から接近する方法としての試行してきた高齢者デイサービスセンター(以下、高齢者デイ)においてレクリエーション・プログラムとして実施できる修復的対話(Restorative Justice Dialogue : RJ対話)で、教育的なRJトーキング・サークルの対話プログラム「お話しの会」を完成させた。また高齢者デイで、このプログラムを実施することから期待される成果を参加型評価により特定し、暫定的なインパクト理論を仮説構築した。このインパクト理論を検証するための6回分の実施手順を完成させて、現在、全7カ所の高齢者デイの協力を得て対話プログラムの仮説検証を開始した。 子世代からの接近方法では、社会的に孤立しがちな子世代として生活保護受給者への就労支援や困窮者支援と連携して「女性のための対話の会」「だれでも参加の対話の会」を開催し、高齢者デイと同様に、教育的なRJトーキング・サークルの対話プログラムを開発している。就労支援との連携で先行して開催してきた「女性のための対話の会」を参加型評価し、これを生活保護担当者や就労支援事業者などのステイクホルダーと参加型で評価して、暫定的な仮説構築を検討する段階に至れた。 現時点では成果を確認するための指標等を用いていない。研究倫理上、指標として構成された心理的な尺度を用いる場合には、研究協力者に事前に対話から期待される成果を示す必要があるが、事前に成果を示すと、そのことが対話プログラムによりもたらされる「発見」や「気づき」を阻害する可能性があるため指標の特定にはさらに研究が必要である。対話の会を主導できる担い手を養成しつつ実施しているが、担い手が少なく参加者数を増やせない。平成29年度予定のアセスメント尺度の調査はA市協力のもと調査依頼を終え、調査に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
参加型評価において、指標などの特定はできていなため量的な分析はできていないが、質的には評価できている。おおむね予定通り進捗しており、アセスメント尺度の調査には至れている。
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Strategy for Future Research Activity |
生活困窮者支援との連携で、引きこもりから脱出しようとしている人などを含めた子世代との対話プログラムを引き続き開発する。社会的に孤立して親虐待という事故に至りそうな親子、周囲と敵対して孤立している子世代が、修復的対話の俎上に乗れるための試行を続ける。またアセスメント尺度の分析から、修復的対話で話し合うことが良いケースの特定を試みる。
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Causes of Carryover |
カナダの実践者・研究者と会い、スーパーバイズを受ける予定であったが、高齢者デイサービスセンターでのプログラムは順調に進捗したため、カナダへ渡航する必要がなかった。メールやスカイプでの交流により目的は果たせたことと、アセスメント尺度の調査において、カナダでの使用状況の確認などで渡航する予定もあったが、カナダにて研究協力してくれる日本人研究者を得ることもできたので、旅費使用をしなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
カナダでの研究協力者に対して、トロントからキッチナーへの旅費、必要経費、謝金として使用する可能性が高い。
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Research Products
(2 results)