2016 Fiscal Year Research-status Report
ベトナムのハンセン病村に住む子どもたちの自立支援と社会的統合
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16K04153
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
渡辺 弘之 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (10300097)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ハンセン病 / 子ども / ベトナム / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年8月にベトナムのハンセン病治療施設内のハンセン病村において、ハンセン病元患者の子どもたちおよび一般群の子どもを対象としたインタビューを実施した。同施設内のハンセン病村には小学校が併設されており、ハンセン病村在住の子どもが通学している他、外部から通学している子どもも在籍している。このため、ハンセン病元患者の親を持つ子どもを「元患者の子ども」とし、外部から通学している子どもを「一般群の子ども」と設定した。この調査研究は病院Xとの共同研究として実施しており、調査研究上の許諾および研究倫理については病院Xからの承諾を得ている。 対象とした子どもは両群とも7歳から13歳とし、子ども用包括的健康関連尺度であるKid-KINDL Vietnamese versionを用いた。Kid-KINDLには身体的健康、精神的健康、自尊心、家族、友だち、学校生活の下位尺度から構成され、子どものQOL測定手段として世界的に用いられている。調査票は集会所から自由に持ち帰ってもらい、対象者である子どもたちに研究協力の圧力がかからないよう配慮した。得られたデータの集計および分析はIBM SPSS Statistics ver.21 for Macを用いた。 元患者の子どもと一般群のこどもを比較すると、元病患者の子どもの場合、身体的健康のスコアが一般群の子どもより有意に低いという結果となった。両群とも家族との関係は良好であると推測されるが、元ハンセン病患者の子どもの場合、自尊心、友だち、学校生活の項目において極端に低いスコアがみられたことから、何らかの精神的な葛藤を抱いている可能性が示された。この結果については2017年3月に病院Xにて中間報告を行った他、2017年6月の国内学術学会にて報告の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標に掲げたサンプル数が収集できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は13歳以上の子どもたちを対象とした上で、引き続きハンセン病元患者の子どもたち、一般群の子どもたちからデータ収集を行う予定である。また、データ収集時に発生するストレスや緊張の緩和のため、より親しみやすいインターフェイス操作画面を実装したタブレット端末(Computer Assisted Touch Screen Program, CAT-SCREEN)からの入力を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
2017年3月にインタビューデータ起こしと要約作成を外部に依頼したが、見積額が予算残高(141,309円)を上回ったため、次年度に配分される予算と合算後に残りの予算を用いることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インタビューデータ起こしと要約作成のための謝金として用いる予定である。
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