2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K04154
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
輪倉 一広 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (10342122)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ハンセン病 / キリスト教 / 聖バルナバ・ミッション / 草津湯ノ沢 / 聖公会社会事業 / 救癩 / コンウオール=リー |
Outline of Annual Research Achievements |
隔離政策下のハンセン病救療事業家とその実践について宗教福祉思想史の視座から検討する本研究の第2年目は、聖バルナバ・ミッションの創設者であり草津聖バルナバ教会設立の立役者でもあったメアリ・ヘレナ・コンウォール=リー(イギリス聖公会宣教師)を取り上げた。本研究の中心的な視点は実際の援助関係がキリスト教の思想・倫理という固有な行動規範に基づいてどのように形成・構築あるいは変容されたのかという点にある。そこで、本年度の課題であるコンウォール=リーの草津湯ノ沢(自由療養地区)ならではの患者とのかかわり方がキリスト教の思想・倫理にどのように影響されたのかについて知るため、可能な限り具体的な援助実践が把握できる史料を入手すべく調査を行った。 今回、その資料として調査収集したものは、①草津聖バルナバ教会で所蔵する各年度のミッション報告、教会機関誌『高原』等、②日本聖公会が経営する立教学院で所蔵する米国聖公会内外伝道協会の各年次報告書等、③草津湯ノ沢から栗生楽泉園へ移った同園入所者からの聞き取り、④栗生楽泉園患者自治会で所蔵する資料、⑤上毛新聞バックナンバーのうち聖バルナバ・ミッションあるいは草津湯ノ沢等に関する記事、⑥草津町にある仏教寺院住職等への聞き取り、⑦聖バルナバ・ミッションにかかわる草津町社会事業関係史料、および⑧同ミッション事業の基礎資料となる『湯之澤聖バルナバ教会史』である。 これらの史資料の分析はほぼまだ手付かずのままであるが、調査の過程で気づくことは、コンウォール=リーが聖バルナバ・ミッションを日本聖公会北関東教区に連なる一クリスチャン・コミュニティの相互扶助機構として組織化した点である。それは、聖公会の特徴として常に直面してきた課題「多様性を認めつつ一致を図る」という難題への恒常的な解決の取り組みといえるのではないか。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度計画上の史資料収集は十分とはいえないまでも概ね終えているが、その分析はほぼ手付かずのままである。また、当初計画していた30年度計画へと進める上での予備的な調査についても取り組めていない。こうした遅れは、大学業務との兼ね合いで時間的な余裕が少なくなったためと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度予定した計画とりわけコンウオール=リーおよび聖バルナバ・ミッションについての史資料の分析を進めるべく、30年度は次の予定を一時凍結して対応したいと考えている。
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