2021 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the History of Leprosy Religious Welfare Thought in Modern Japan
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16K04154
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
輪倉 一広 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (10342122)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハンセン病 / コンウォール=リー / アングリカニズム / ハンナ・リデル / 回春病院 / 聖バルナバ・ミッション / 道徳 |
Outline of Annual Research Achievements |
補助年度ごとにキリスト者である計4名のハンセン病救療事業家の福祉実践の実際と思想を探るべく研究開始年の当初から順に現地での資料調査を行い整理・分析する計画で進めてきた。しかし、2018年度以降の学内業務の多忙化、新型コロナによる現地調査の中止等により補助期間全体の計画が変更を余儀なくされた。 そのような中、計画期間の前半に予定したハンナ・リデルおよびコンウォール=リーについては最終年度までに何とか研究成果をまとめることができた。とくに後者については2021年度に論文「草津聖バルナバ・ミッションの救療事業にみる聖公会慈善の道徳原理」を発表し、コンウォール=リーの救療事業における道徳的方針・思想を、とりわけ日本における通俗道徳と聖公会のキリスト教倫理との相互関係に注目しつつ明らかにした。これは、コンウォール=リーや草津バルナバ・ミッションに関する既往の研究アプローチとは異なり、より宗教慈善のあり方について具体的な実践の分析からその深層構造を探ろうとする新たな視点からの検討である。 コンウォール=リーの草津聖バルナバ・ミッションにおける救療実践をその道徳原理から評価するなら、積極的・普遍的な公共精神をはぐくむ思想的・宗教的な土壌をもたなかった日本人とは異なり、コンウォール=リーはアングリカニズムに依拠した「共同体的信仰」を目指して異邦人である草津のハンセン病患者たちを自らの宗教的権威とミッションの参加者(患者)たちによる合議との2つの方法を折衷的に用いて柔軟に組織化を果たしたとみることができる。
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Research Products
(1 results)