2016 Fiscal Year Research-status Report
ワーキングプアの住宅確保におけるリスクに関する実証的研究
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16K04155
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Research Institution | Gifu College of Nursing |
Principal Investigator |
杉野 緑 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授(移行) (70326106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 昌子 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 教授 (50095402)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ワーキングプア / 住宅確保 / 生活困窮者自立支援法 / 公的扶助 |
Outline of Annual Research Achievements |
総務省家計調査年報の2005年~2015年、勤労者世帯分について①年間収入10分位階級別、②住居の所有関係別の分析を行った。①年間収入10分位階級別では2005年からの10年間において、第1分位と10分位の可処分所得は4倍以上の違いがあった。家賃負担をとらえるために、消費支出に占める「家賃地代」の割合をみると、第1分位が常に15~16%であるのに対して10分位は2%弱であった。また世帯人員は第1分位1.2人(有業人員0.34人)に対して第10分位は3.56人(有業人員2.03人)、世帯主平均年齢は第1分位64.2歳、10分位54.0歳であった。低所得層ほど世帯規模が小さく、世帯主平均年齢が高い傾向にあった。②住居の所有関係を「持ち家」「民営借家」「公営借家」「給与住宅」別にみると、同じ借家でありながら、「給与住宅」と「民営借家」では可処分所得に1.2倍の違いがあった。「民営借家」が消費支出に占める「家賃地代」の割合がどの年次も22~23%と高い割合を占めている。世帯主の平均年齢は「給与住宅」が30代前半であるが、「民間借家」は40代初めであった。以上から相対的に低所得者層の方が「家賃地代」負担が大きいことが示された。 先行研究としてみずほ情報総研「生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関における支援実績、対象者像等に関する調査研究事業報告書」(2016年)の検討を行った。新規相談者の概要として40~50代の男性が多く、「住居」は「賃貸アパート・マンション」が26.7%と多く、「持ち家」18.5%、「不明」32.5%であった。「就労状況」は「仕事を探したい/探している(無職)」31.9%、「仕事をしていない(仕事は探していない)」17.2%、「就労している」14.7%であった。稼働年齢層とそれ以外の者に二分していることが示された。引き続き報告より主訴およびアセスメント結果の分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
NPO法人Cの無料定額宿泊所利用者調査を予定していたが、現在の利用者の実態が研究の趣旨に即していないことが明らかになり、他に研究協力を依頼していたために遅れた。 オランダ社会住宅等に関する現地調査を予定していたが、国際情勢から延期した。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな研究協力依頼先より内諾が得られたため、研究倫理審査を経て研究開始できるよう準備を行う。また、家計調査分析より住居の所有関係と他の項目をクロス分析すること、世帯規模、世帯主年齢、借家だけではなく、持ち家のうち住宅ローンありについても検討する必要性が示されたため、追加の分析を行う。 昨年度延期したオランダ社会住宅および住宅手当に関する現地調査を9月に行う。
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Causes of Carryover |
28年度に予定していたオランダ社会住宅等に関する現地調査を延期したこと、ワーキングプアの住宅確保に関する実態調査協力依頼を新たな協力先に依頼中であったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
①29年度9月にオランダ現地調査を行う。海外旅費、通訳代金、諸資料費用として使用する。②新たな住宅確保に関する調査を行うための旅費、結果入力補助者謝金として使用する。③28年度成果より示された新たな家計調査年報データ入力謝金等、追加的資料等に使用する。
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