2017 Fiscal Year Research-status Report
ワーキングプアの住宅確保におけるリスクに関する実証的研究
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16K04155
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Research Institution | Gifu College of Nursing |
Principal Investigator |
杉野 緑 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授(移行) (70326106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 昌子 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 教授 (50095402)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ワーキングプア / 住宅確保 / 生活困窮者自立支援 / 公的扶助 / 社会住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.当初計画にはなかったが、連携研究者が代表を務める「A市生活困窮者自立相談事業利用者調査」(当該事業を2015年4月~2016年1月末に初回相談として利用した262ケース)に参加し、相談の主訴が経済的困窮に関する世帯(180ケース)のうち単身世帯(66ケース)及び相談者が65歳以上ケース(45ケース)の分析を行った。(1)単身世帯の半数以上は賃貸アパート・マンション居住者であり、男性45名、女性21名であり、単身世帯の中心は稼働年齢にある男性である。就労状況と健康状態別にみると、①職業が不安定で、職を転々としているが明確な「失業」といえないような働き方をしている、②健康状態は良くないが就労している。大半は非正規雇用である。③無職で求職中であるが、平均年齢が相対的に高い、の3グループに大別された。稼働年齢にあるが社会保障制度につながらないような就労状況が基底にあり、さらに住居の不安定さが加わっていることが示された。(2)相談者が65歳以上ケースの平均年齢は73.6歳、世帯類型別では単身世帯33.3%、親と子22.2%、夫婦15.6%、平均世帯人員数は2.06人と小規模である。約40%は賃貸マンション・アパート居住者であり、半数以上は健康状態が良くない。約40%の者は年金等の社会保障給付がなく、住宅ローン、介護サービス利用料、医療費支払いに困難を抱えている。2.オランダ社会住宅に関する現地調査を行った。主な調査先は、オランダ内務省、自治体連合、社会住宅協会、各自治体社会住宅協会、社会住宅保証基金及びデルフト大学である。社会住宅の歴史、基本理念、基本的しくみ、家賃補助制度、2015年住宅法改正の背景と内容、EU勧告等について調査を行った。実際の住まいである社会住宅と家賃補助制度の2つが重要であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究倫理審査を経て29年度に研究協力先Bと事例調査を開始したが、必要なデータ収集が遅れている。厚生労働省『被保護者調査』を用いての住宅扶助受給世帯の動向についての整理が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
事例調査研究に必要なデータ収集を行うために、新たな研究協力先Cの内諾を得た。研究倫理審査を経て研究開始できるよう準備を行い、必要なデータ収集を行う。また、生活保護の住宅扶助世帯について世帯類型別、世帯業態別に時系列で整理を行う。
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