2016 Fiscal Year Research-status Report
内科的管理を要する疾患をもつ高齢精神障害者のセルフケア機能評価支援ツールの開発
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16K04169
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
鈴木 孝典 高知県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (20363856)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 精神障害者 / 居住支援 / グループホーム / 内科的疾患 / セルフケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、グループホーム(以下、“GH”と省略)に入居し、糖尿病や高血圧症など継続した内科的管理を要する65歳以上の精神障害者(以下、「当事者」と省略)が、自らの疾患に係るセルフケアに関する生活機能(以下、「セルフケア機能」と省略)を高め、GHでの生活を維持・継続するための多職種協働による評価を支援するツールを開発することを目的とする。 平成28年度は、調査対象者の生活場面及び実践場面において本調査研究を実施する上での配慮事項の確認、及びタイムスタディに係る記録票の作成に向けた、支援者へのヒアリングを3県3市4ヶ所の障害福祉サービス事業所において実施した。その結果、調査対象者について、「高齢精神障害者予備軍」である50歳代まで年齢を引き下げること、仕事や趣味など何らかの大切な役割をもつ当事者とすることなど、実践場面の実態に即した研究デザインの調整が必要であることをとらえた。 くわえて、当事者と支援者の相互による支援過程の振り返りとストーリー分析により支援過程の再構成し、当事者の「生活環境要素」、「社会的機能」、「ソーシャルサポート」とセルフケア機能の関連を定性的にとらえるための事例研究を2回実施した。 その結果、「終の棲家と認識できる居住の場」、「健康づくりのための活動の場」、「『できる』を奪わない支援者」などが存在する生活環境、「年齢や体力に応じた役割からの卒業と新たな楽しみとライフスタイルの獲得」、「終の棲家での暮らしと楽しみを守るためのセルフケアへの意識」など、加齢に伴う心身の変化と向き合いながら社会的機能の変化を受け入れること、また、その生活環境と社会的機能の変化を見守りながら伴奏する支援者の存在が、内科的管理を要する疾患に対する当事者のセルフケアに対するモチベーションやスキルの維持に関連していることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究デザインの調整や所属組織における教員体制の予期せぬ変更に伴う業務負担の増大などがあり、事例研究の実施数は当初の研究計画の半数に満たない。また、タイムスタディの実施にも至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
当事者のセルフケア機能の促進、阻害要因の抽出に向けたフィールドスタディと統計的調査の実施を当初計画よりも半年間遅らせるとともに、平成29年度前期までに事例研究とタイムスタディの実施とそこで得られたデータの分析を実施する。
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Causes of Carryover |
研究デザインの調整及び所属機関での予期せぬ業務の増大が生じ、当初の研究計画どおりに調査研究が進捗しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未実施分の事例研究及びタイムスタディの実施に係る経費(旅費、逐語録作成に係る委託費等) に次年度使用額を充てる。
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