2016 Fiscal Year Research-status Report
滞日ベトナム難民の『定住化』促進のための支援方法-3カ国の国際比較をつうじて
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16K04190
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
荻野 剛史 東洋大学, 社会学部, 准教授 (00410861)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 難民 / 定住化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、当初の予定どおりスウェーデンに在住の難民7名に対するインタビュー調査を行った。インタビュー調査では、主に彼らの定住化のプロセス(スウェーデン定住の理由、スウェーデン到達初日の滞在先、スウェーデン語・スウェーデン文化及び生活様式の教育の学習状況、就職状況〔就職時のアプローチの仕方・職業選択の理由・職場での様子〕、転居の有無、近隣〔同胞及びスウェーデン人〕との関係性など)について聴取した。 インタビュー調査の結果は現段階は分析中だが、日本の難民の定住化のプロセスと比べた場合、管見の限り、少なくとも公的な支援(特に言語や文化・生活様式に関する教育)と、就職状況ついて相違があると推測される。日本の場合、難民に対する公的な支援は、定住初期の段階の6ヶ月程度であるが、スウェーデンの場合は最長で2年間と長期にわたっている。そのためか、言語力が低いことで就職に困難が生じたケースは今回のインタビューでは確認できなかった。また就職も、一部外国人ゆえに差別的な扱いをされた旨の回答があったものの、日本の場合と異なり、多くの場合難民の希望や技能を生かせる職に就いている(就いていた)ことが今回のインタビューで明らかになった。 今後は、今回インタビューした内容を、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)で分析し、スウェーデンにおける難民の定住化プロセスを概観する。その上で、聴取が不足していると思われる部分を明確化し、2017年度夏に予定しているインタビュー調査のためのインタビューガイドに反映させる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年度は、主にベトナム難民に対するインタビュー調査(前半部分)とその分析作業の実施を予定していた。インタビュー調査は実施したが、一方分析作業は途上であるため、「やや遅れている」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のとおり、日本とスウェーデンにおける難民の定住化のプロセスを比較した場合、いくつかの相違の存在が想定される。今後は分析を進め、2017年度に予定している第2回目の調査に向け、インタビューガイドの改定を行う。その上でインタビュー調査を再度行う。なお課題として、インタビュー対象者を見つける作業に難しさがあるが、研究者が持つ現地のネットワークをつうじ探す予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額の発生は、研究の遅れによって生じたものではなく、会計処理の都合によって生じたものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度同様、主に、スウェーデンにおけるインタビュー調査に要する費用(交通・宿泊費及び通訳に要する費用)として用いる予定である。
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