2018 Fiscal Year Research-status Report
政策の作用関係に着目した障害者政策の包括的分析―横断的視点と縦断的視点からの考察
Project/Area Number |
16K04192
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山村 りつ 日本大学, 法学部, 講師 (80609529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 恵介 日本大学, 法学部, 教授 (90318337)
百瀬 優 流通経済大学, 経済学部, 准教授 (00386541)
廣野 俊輔 大分大学, 福祉健康科学部, 講師 (60626232)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 障害者政策 / 横断的分析 / 縦断的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、障害者政策を個別の各論としてではなく全体像を把握するとともに、その関係性について理解を深めることができた。特に所得保障と障害者運動の相互作用や、社会サービス給付における権利擁護事業の状況と、法学的観点からの位置づけとの矛盾など、これまで各論にフォーカスした研究では得ることのできなかった知見が明らかにされた。この点において、当初の研究の第一の目的は概ね達成することができた。 また、第二の目的であった障害者政策の多面的な把握や、具体的には相互作用関係の背景にある異なる立場からの障害者政策への視座についても、特に障害者運動と政策立案者の関係においてみることができたが、第三の目的である、それらの知見の障害者の生活向上や政策の実効性向上への活用、すなわち新たな政策提言といった段階にまでは至らなかった。 その要因として、障害者政策を全体として把握することにより、その内在的な多様性と、外在的な重複性が明らかになり、障害者とはだれなのか、また障害者政策とは何を指すのかといった根本的課題に直面したことがある。また同時に、それらの障害者の定義や障害者観にかかわる問題として、他領域との相対的関係における障害者政策の課題も明らかになり、これらの点はまた新たな研究計画の課題として持ち越されることとなった。 さらにこれらの研究成果は、しかしながら個別の論文としての記述に限界があり、研究成果の具体化としては、この研究によって明らかになった知見を中心として、障害者政策全体の根底にある相互関係の明示をテーマとした書籍として、刊行することとした。この刊行は、研究途中段階での各研究メンバーの生活状況の変化などにより多少の遅れがみられ、2019年度中となることがきまっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の体調不良および複数の研究分担者の家庭の事情(出産、育児等)により、特に2年目に予定していた海外での調査を行うことができず、また縦断的視点における分析が不十分な結果となった。 今回の研究では、横断的視点による分析と、その成果を書籍として刊行することまでとし、残された課題について、今後の研究において取り組んでいきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果の公表としての書籍の刊行が2019年9月に決定しており、現在はそれにむけた論文執筆を中心に行っている。また、この研究成果を発展させたものとして、次の研究計画の実施が決まっており、書籍刊行後はそちらにシフトする。新たな研究計画では、本計画で実施が難しかった海外比較に重点を置き、障害者政策における基本原理の獲得に向けた研究を行っていく。
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Causes of Carryover |
計画の遅れにより研究成果の発行が2019年度にずれ込んだため、それに要する費用を次年度使用額として延長の手続きを取った。
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Research Products
(4 results)