2016 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前半の東アジア社会福祉の学術交流史に関する研究及び研究方法論の構築
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16K04196
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
沈 潔 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20305808)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 東アジア / 社会政策 / 学術交流史 / 社会福祉 / 日本 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度では、課題に関連する史料の収集と整理を行いながら、台湾や中国の専門家に史料の所蔵や史料批判の方法論について、様々な意見を交わした。 具体的な研究活動は下記の通りである。 ① 9月中旬に北京大学に訪問し、社会政策の研究者、近現代史の研究者を訪ね、史料所蔵と史料批判に関する諸課題について意見交換した。また、北京大学図書館、歴史学科図書室に所蔵されている第一次史料を調べ、関連する一部の資料を入手した。② 12月に国際会議参加のため、来日した台湾中央研究院近代史研究所の学者を迎え、少人数のワークショップを行った。台湾における史料所蔵や史料研究の動向について、双方で意見交換を行った。③ 12月23日に早稲田大学で開催された「日中和解の道を探り」という国際シンポジウムに参加し、「中国占領地の社会と生活に関する史料の発掘と研究」をテーマとして、研究発表を行った。 以上の研究活動を通じて、以下の実績をあげられた。その1、20世紀初頭から敗戦までの間に社会福祉政策の理論と実践における日中両国の交流及び政策の移転に関する史料と研究動向を把握することができた。その2,今後の研究の推進における理論的枠組み及び研究手法の構想の基盤を整えた。その3,当該研究課題の推進に必要な研究者をつなぐネットワークを作ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な課題は、資料の収集と整理、スペシャリストに対する聞き取り調査、 少人数のワークショップを開催することである。設定された課題は、概ね達成した。 発掘された中国語に関連する資料は、すでにテーマごとに整理しており、また、日本語史料と照らして資料の比較や史料批判の作業に着手した。そして、福祉政策史研究に活用されてきたオーラルリサーチ研究方法によって、スペシャリストに対する聞き取り調査によって得られた知見は、今後の研究手法の検討に生かすことが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
2017 年度の研究計画は、第1に、20世紀前半における東アジア社会福祉学術史の交流の全体像を明らかにすることである。特に、専門家らの交流のプロセス及び専門職団体や研究機関という組織間の交流の実態を解明することを主な課題として取り上げたい。 第2に、当該時期における専門家の交流及び組織間の学術交流において、国際的な環境及び学問的な環境に影響された要因が何かを検証し、今日の東アジア社会福祉政策の学術交流のあり方を検討する。 具体的な推進方策は、① 引き続き、第一次史料を発掘する。② 少人数のワークシ ョップを開催し、20世紀初頭から敗戦までの間に東アジア地域における社会福祉の理論と実践の交流及び政策の移転に関して、その国際的な要因や政治的な要因が何かを議論する。③ 研究会及び学会において、研究成果の中間発表を行う。
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Causes of Carryover |
来年度及び最終年度に海外の研究協力者を日本に招聘し、小規模な国際会議を行う予定である。生じた次年度使用額は、その海外研究協力者の旅費に充当したいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用額の使用計画は、次のように考えている。 1.海外研究協力者を日本に迎え、国際共同研究集会のために使用する。2.第一次史料発掘のために、海外出張の旅費に充当する。3.近年に復刊された本研究に関連する貴重な史料を購入する。 いずれにしても、生じた次年度使用額を有効的、大切に活用する。
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