2018 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前半の東アジア社会福祉の学術交流史に関する研究及び研究方法論の構築
Project/Area Number |
16K04196
|
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
沈 潔 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20305808)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
趙 軍 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (30301831)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 学術交流史 / 満洲生活 / 社会政策 / 社会事業 / 日本と中国 / 史料批判 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度では、引き続き、20世紀前半に出版された該当領域の日本語・中国語の書籍と雑誌を考証・批判作業を行い、社会福祉領域における学術交流のアプローチと史実を掘り下げ・検証してきた。また、シンポジウムの開催を通じて、日本と中国の研究者は本研究の仮説である①専門家の中立性、②政策移転の共益性を検証し、その認識及び理論的枠組の共有化について議論した。 具体的には、下記の活動を実施した。1,2018年11月24日に、日本女子大学目白キャンパスにおいて、「交流と交差:20世紀前半の東アジア社会福祉学術史」をテーマとして、日本と中国の研究者・大学院生等の参加によって国際シンポジウムを開催した。首都圏を中心とする40名近いの研究者と大学院生等が出席した。参加者らが、日本社会福祉政策のアジア地域への伝播に当たって、専門家が中立性を持ちつづける動因と特徴等について議論した。 2,2018年12月5日、台湾・中央研究院近代史研究所主催「西方経験與近代中日交流的思想連鎖」のシンポジウムに参加し、海外の学者と共に近代社会学の理論、概念及び応用方法のアジア地域への伝播に当たって、伝統的学問との間の齟齬・調和・相互解釈のプロセスと特徴を検討した。 3,2019年2月24日に北京で開催された社会保障学会大会において、研究代表者は「日本社会保障財政の課題分析」を題とした研究発表を行い、歴史と現実の角度から政策移転の共益性の可能性と限界を検討した。 4,2019年3月1日に、本研究プロジェクトのメンバーは日本上海史研究会と上海社会科学院歴史研究所現代史研究室が主催した「中日学者中日関係史交流会」に出席し、本研究の史料調査及び史料批判の研究結果を発表し、資料検証の方法論について日中の研究者の間で意見交換を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の第3年度にあたる2018年度において、①予定されている「20世紀前半に出版された該当領域の日本語・中国語書籍や雑誌」に対する検証と史料批判作業は、研究対象となる史料はすでに多数蒐集し、検証と解読の作業も進んでいたが、史料の分野と種類は多岐に亘ることと、研究代表者は学内の役職に就いて多忙になったことが重なって、予定よりやや遅れている。②予定されている「国際シンポジウム」の開催と参加が2018年度に一回ずつ行ったが、本研究プロジェクトの全体像に関わる「国際シンポジウム」ができれば2019年度にもう一回開催することを考え、現在鋭意準備している。以上の2点のため、本年度の計画内容を達成し「やや遅れている」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
延長された最終年度においては、これまでの研究結果を踏まえ、史料検証と解読に未完成の部分を完了させ、それにふさわしい研究方法を明らかにする予定である。また、今後の東アジア社会福祉に関する学術研究の連携の在り方や共通の理論的基盤と価値観を究明することに努めたい。研究報告書の作成によって研究成果を公表し、社会に還元する予定である。 具体的には、下記の活動を実施する計画である。 1,海外の研究協力者を日本に招聘し、歴史の視角から東アジア社会福祉分野の組織間の連携と協働,福祉政策の移転と評価について議論を深め、研究成果を社会に公表する。 2,海外の国際会議に参加し、東アジア社会福祉に関する学術研究の連携の在り方や共通の理論的基盤に対する本研究の成果及び意義を積極的に発信する。 3,研究報告書を作成し、研究成果を公表する。
|
Causes of Carryover |
理由の1は、研究代表者は学内の役職に就いて多忙になったことが重なって、研究計画が従来の予定よりやや遅れている。 理由の2は、予定されている「国際シンポジウム」の開催と参加が2018年度に一回ずつ行ったが、研究の全体像が反映できる「国際シンポジウム」は、2019年度にもう一回開催したいと考えており、現在鋭意準備していところである。 以上の理由で、使用額の一部を繰り下げ、次年度に使用できるよう延期した。
|