2018 Fiscal Year Research-status Report
限界集落の地域生活継続可能性と地域住民のエンパワメント評価に関する縦断的研究
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16K04198
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
渡辺 裕一 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (70412921)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エンパワメント / 地域住民 / 地域生活継続希望意識 / 社会的排除 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画において限界集落における第5・6回目の調査実施を計画したが、第1回から第5回において収集したデータを分析し、地域住民の高齢者支援におけるパワーを予測するモデルの検討を行った。その結果、地域の集まりの参加数と情報交換する内容の数が、地域住民の高齢者支援におけるパワーに寄与している可能性が考えられた。 過去に実施した限界集落での調査研究も含め、2018年度(2019年3月)に10年目(合計6回目)の繰り返し横断調査による量的なデータの収集を行った。限界集落における10年間の経年的なデータを得ることができた点に意味がある。 変数には、高齢者の支援における地域住民のパワーを測定する尺度をはじめ、地域における一人暮らし時の生活継続希望意識、他者との接触の頻度、ソーシャルサポートの提供状況、社会資源に対する評価、地域における情報収集の経路、地域の会合等における被排除感、その他を用いた。 地域における一人暮らし時の生活継続希望意識の結果は、元気な場合・ケアが必要な場合共にこれまでほぼ横ばいに推移していたが、6回目の結果では「継続を希望する」という回答が1割程度減少しており、有意に近い傾向が認められている。また、地域の会合等における被排除感は、有意に低下する傾向が認められている。 これらの変数の変化と高齢者の支援における地域住民のパワーとの関係では、特に地域の高齢者問題の共有意識の得点が低下が認められており、地域における一人暮らし時の生活継続希望意識及び地域の会合等における被排除感等の変数との関連については引き続き詳細な分析を続けていきたい。 地域住民のエンパワメントに向けた方策の検討としては、2018年の8月に過去に実施した限界集落での調査研究の成果を、地域の将来を考える会合や地区民生委員・児童委員協議会において報告し、地域住民と共有することに取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度に計画していた地域住民へのインタビュー調査、2018年度に計画していた地域住民への横断調査(繰り返し6回目)を計画通り実施することができたことから、「おおむね順調に進展している」とした。 一方で、データの収集に対して、分析、結果の公表が十分に進んでいないと感じるが、毎年、1回以上の学会での報告は実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、本研究課題の最終年にあたり、10年分(6回目)の変化に関するデータを収集することができた。研究計画の変更及び研究を遂行する上での課題等は特にないが、これまで収集したデータについて、十分な分析を行いたい。
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Causes of Carryover |
2018年度の執行において、2019年3月に実施した調査が、当初の計画に比べて対象者数が減少し、小規模なものになった点が挙げられる。また、調査において使用する物品の購入をできるだけ安価なものを選択することや本計画期間において購入したものを繰り返し使用するなど、経費の節減に努めた結果と言える。 この経費については、分析及び結果の報告・公表のために、引き続き使用していきたい。
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