2017 Fiscal Year Research-status Report
地域福祉とまちづくりの融合における中間スペースの構造に関する研究
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16K04213
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
朴 兪美 日本福祉大学, 福祉社会開発研究所, 准教授 (10533383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穂坂 光彦 日本福祉大学, アジア福祉社会開発研究センター, 研究フェロー (10278319)
平野 隆之 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70183580)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コミュニティ / 媒介空間 / 福祉生態系 / コミュニティ組織化 / 中間組織 / メタ現場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地域福祉とまちづくりが融合し相乗的に進む媒介領域を仮説的に「中間スペース」と設定し、その媒介メカニズムを明らかにすることを目的としている。 近年、その媒介領域を進める福祉政策の動向は著しく、本研究では韓国ソウル市における福祉政策の体系に注目し、「福祉生態系の構築」という市政策の分析を通じて、福祉とまちづくりの協働を促進する地域福祉政策の枠組みとして、「コミュニティづくりによる媒介空間の形成」(横断的・縦断的媒介が機能するプロセス)というメカニズムを明らかにした(朴・平野『日本の地域福祉』第31巻)。 こうした媒介メカニズムにおいて、コミュニティづくりの実現が重要な要素であり、その推進方法として、「コミュニティ組織化」が新たに着目される。その点で、現場実践者の長年の体験がまとめられた、韓国住民教育院のコミュニティ組織化の方法論を、日本の地域福祉推進に合わせたものとして編訳した(平野・穂坂・朴編訳『地域アクションのちから』)。 コミュニティ組織化の担い手づくりを含めて、媒介を具体化できる体制としては、社会福祉協議会のような中間組織を取り上げることができる。媒介空間の形成にはワーカー個人ではなく、組織的な推進が求められるということから、海外の中間組織(韓国の社会福祉館)との相対化を通じて、媒介領域を担える組織体制について示唆した(朴『日本福祉大学社会福祉論集』第138号)。 なお、高知県でのアクションリサーチをまとめる(平野他3名『日本福祉大学社会福祉論集』第137号)とともに、名古屋市社協職員による実践の振り返りを支援し(吉川他7名、第31回日本地域福祉学会自由研究発表)、本研究の研究方法としての「メタ現場」の可能性も検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
福祉とまちづくりの中間スペースのメカニズムについて、自治体の政策分析を通じて、本研究が示す横断的媒介機能や縦断的媒介機能をコミュニティづくりのプロセスとして発信することができた(学術論文)。なお、メカニズムと関連した担い手に注目し、中間組織の研究を進めることができているし、具体的な推進方法としてのコミュニティ組織化の提示を試みることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
・中間スペースの媒介機能の精緻化:中間スペースの要素となる場・組織・人が連動し、地域福祉とまちづくりを融合させるプロセスの精緻化を継続的に進める。 ・研究会の開催:本研究の最終年度であり、研究のまとめ作業を視野に入れて、研究会を進める。 ・現地での研究の場を設定:研究成果の報告も含めて、現地での研究の場を設定し、現場の多様な分析視点を取り入れた意見交換や議論を進める。それによって、研究と現場実践との好循環の生成を期待する「メタ現場」の可能性も継続的に検討していく。 ・海外の調査や研究会等:海外フィールドワーク(主に韓国)とともに、継続的に比較検討を進め、本研究の普遍化の可能性について探る。
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Causes of Carryover |
・理由)本研究の初年度において、研究体制組織化や分析枠組みの明確化が優先されたため、旅費申請額が少なく、予算額との差額が生じていた。その金額を今年度の旅費に当てて使用したが、次年度使用額が生じている。 ・使用計画)次年度は研究の最終年度であり、研究のまとめ作業が必要となっている。その一環として、本研究の融合メカニズムにおいての担い手となる人材養成と関連して、コミュニティ組織化の学習・トレーニングについても研究を進める予定である。こうした作業に次年度使用額を用いる。
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Research Products
(10 results)