2018 Fiscal Year Research-status Report
児童養護施設の小規模生活集団における援助システムモデルの開発に関する研究
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16K04221
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
遠藤 洋二 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 教授 (90588716)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 児童養護施設 / 施設の小規模化 / 高機能化 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会的養育にかかる施設の小規模化及び家庭的養護推進、さらには、児童虐待による反応性愛着障害・PTSD、自閉症スペクトラムなど、様々な課題を抱える児童の増加に対応するための施設機能の強化など、入所型児童福祉施設が求められている将来像に関して以下のような研究を実施してきた。 研究Ⅰ:「児童養護施設における業務区分に関する研究」 : 児童養護施設における援助職(児童指導員・保育士)の業務を分類するとともに、タイムスタディー・インタビュー調査を実施し、児童養護施設の業務を区分し、それに基づき、大(中)規模施設および小規模施設(ユニット・地域小規模)においてタイムスタディを行った。タイムスタディの結果、中規模生活集団と小規模生活集団において、業務の量的な顕著な差は認められないものの、並行して行ったインタビュー調査では、こどもの「生活の質」について高評価する職員が大多数にのぼった一方、本体施設との乖離、業務-業務外区分の曖昧さ・拘束時間の長時間化・個人にかかる負担の増大・こどものとの距離間など、運営・業務システム上の課題も散見された 研究Ⅱ:「小規模生活集団・大規模生活集団における業務の質と量に関する研究」 : 研究Ⅰの結果を基に小規模生活集団・大規模生活集団の業務比較を行った。さらには、職員確保の問題、小規模集団特有の課題(職員の孤立化・児童との距離など)によるものと思われるが、職員の離職率の高さなどの問題が表出し、結果的に地域小規模児童養護施設の閉鎖した事例についても調査を行った。 研究Ⅲ「小規模生活集団における業務構造に関する研究」 : 研究Ⅰ・研究Ⅱの結果をもとに、直近に地域小規模児童養護施設を開設した児童養護施設の管理者および当該施設の職員に対してインタビュー調査を行い、開設に際して想定した課題とその結果を比較しつつ、小規模生活集団の業務構造を一定程度明らかにしようとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度は個人的理由により研究が進まず研究期間を延長した。2019年度は当初予定した2018年度の研究計画に基づき実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は研究の最終年度として、これまでの研究成果を踏まえ、児童養護施設等の小規模化を進める上において、施設職員等が検討すべき課題および小規模生活集団の業務構造を体系化し、小規模化した際に想定しうるいくつかの課題とその対応方法等を検討したいと考えている。(以下、これを「実践モデル」とする。) まずは、実践モデル(案)を策定し、当該モデルを国内外のエキスパート(小規模生活集団の開設、維持の経験を有する専門職員・政策的に小規模化を推進してきた国:イギリス・オーストラリア等の関係者)に個別あるいはフォーカス・グループインタビューを実施し、実践モデル(案)を評価し、実践モデル(案)の改変を行っていきたいと考えている。 また、現在多くの小規模施設において憂慮とされている児童の問題行動、特に暴力(性暴力を含む)の対応に関する実践モデルや地域小規模生活集団の閉鎖に関する課題についても可能な範囲で明示したいと考えている。
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Causes of Carryover |
2018年度は個人的理由により十分な研究ができず、研究期間を延長したため。
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