2018 Fiscal Year Research-status Report
子育て家庭支援における『地域支援』実践モデルの構築に関する研究
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16K04225
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
橋本 真紀 関西学院大学, 教育学部, 教授 (50368495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉石 哲也 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (20234528)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 子育て家庭支援 / 地域支援 / 社会的包摂 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、主として以下二つの研究を行った。 (1)2017年度の研究では、事例分析を行い子育て家庭の社会的包摂を志向した「地域子育て支援拠点事業」と「利用者支援事業」における従事者(以下、従事者)の「地域支援」の働きをとらえた。2018年度は、それらの働きの相互関係を捉えるため、事例から析出された従事者の働きを図式化した。結果、従事者は、子育て家庭を地域の中で包摂するために、①子育て家庭を含む地域の人びとの「暮らし」を理解し、「立ち話を増やす」など具体的な現象をイメージしながら地域において出会うはずがない人々を連関させ、②また、主体、客体が入れ替わる地域の相互関係の中の話題を捉え、子育て家庭と地域の人びととの小さな体験の共有を支え、③日々の継続的な取り組みにより子育て家庭への関心を喚起し、地域の子育て規範を寛容にさせていた。④それらの従事者の働きにより、地域の人々や当事者間の支え合いが役割を超えて機能するようになることが捉えられた。 (2)地域子育て支援拠点事業と利用者支援事業における「地域支援」の現状分析を目的とした量的調査を実施した。①2017年度の事例研究で捉えられた「地域支援」における従事者の働きの5つのカテゴリの下位コードを基に、「地域支援」における働きの質問項目を作成した。②全国の地域子育て支援拠点事業一覧から550ヵ所を抽出し、調査票を配布した。回収数は288部であり、回収率は52.4%であった。③単純集計、一元配置の分散分析、クラスター分析を行った。しかし、その分析過程で「研究の遅延理由」に示す状況が生じた。そのため、2018年度内には、事例検討、ヒアリング調査、量的調査結果の総合的考察、それに基づく子ども家庭支援における社会的包摂を志向する実践モデルの構築に至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度は、地域子育て支援拠点事業と利用者支援事業における「地域支援」の現状分析を目的とした量的調査を実施した。2016年度、2017年度に実施した事例調査、ヒアリング調査の結果に基づき、「地域支援」の実態調査の項目を作成し、地域子育て支援拠点事業550ヵ所を対象に質問紙を配布し、288ヵ所から回答を得た(回収率52.4%)。しかし、研究代表者の家族が要介護状態となり、研究代表者の援助が必要となった。そのため量的調査の分析と検討が予定より遅れている。さらに2018年度北海道で予定していたインタビュー調査が震災のため、先方の都合により実施できなかった。2019年度は、量的調査の結果分析とヒアリング調査に取り組み、その結果を踏まえて本研究の目的である子ども家庭支援における社会的包摂を志向する実践モデルの構築を達成したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、研究目的の達成に向けて以下の4段階で取り組む。(1)2018年度に実施した量的調査の結果分析、検討を行う。(2)2018年度に実現できなかった北海道での地域子育て支援拠点を運営する団体を対象として「地域支援」の取り組みについてヒアリング調査を行う。(3)2016年度、2017年度に行った事例検討会における事例分析の結果、また2017年度におこなった日本の地域子育て支援拠点事業とベルギーの子ども家庭支援センター(Huis van het Kind)のヒアリング調査の結果、さらに2018年度に実施し2019年度に分析、検討を行う量的調査の結果を往還しながら、「地域支援」の構成要素や援助機能の検討を行う。その総合的な結果、および考察を踏まえて、子育て家庭支援における社会的包摂を志向する「地域支援」の実践モデルを構築する。(4)さらに(1)の量的調査で把握された「地域支援」の現状と、本研究が検討した子ども家庭支援における社会的包摂を志向する「地域支援」の実践モデルとの差異を勘案しながら、実践モデルの普及に向けた提案を行う。
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Causes of Carryover |
研究の遅延理由に示すように、研究代表者の家族が要介護状態となり、研究代表者の援助が必要となった。そのため総合的考察を行うための最終の研究会が実施に至らず、次年度使用額が生じた。さらに2018年度北海道で予定していたヒアリング調査が震災のため、先方の都合により実施できなかったため、2019年度に再度の交渉と日程調整を行い実施する予定である。
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