2017 Fiscal Year Research-status Report
近代神戸において社会事業の展開に寄与した人物に関する研究
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16K04231
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
小笠原 慶彰 神戸女子大学, 健康福祉学部, 教授 (00204058)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 福原女学校 / 女紅場 / 神戸又新日報 |
Outline of Annual Research Achievements |
戸田金一によれば、慈善学校の研究は「日本史そして日本教育史、また社会福祉史の空白部」であるという(戸田『明治初期の福祉と教育』2008:8)。彼は「慈善学校に関する資料は乏しく、したがって本格的に慈善学校を考察し、著書の上梓は生まれ難かった」としながらも、教育史家の先行研究を取り上げるだけでなく「福祉史家などによる研究の進展について、その情報収集を怠ってはならない」と指摘している(戸田2008:1-6)。発表者は、かつて大阪に存在し、社会福祉史においては知られている、徳風学校、有隣学校について論じたことがある(小笠原2015「貧民学校としての徳風・有隣学校に関する再検討‐第3次小学校令・工場法・感化救済事業と学齢児を巡る問題について」『関西社会福祉研究』1.3-18.)。明治末期以降の貧民学校についての同様の先行研究は、相当数存在する。しかし明治初期から中期にかけての「慈善学校」については確かに空白部であると感じる。 戸田は同時期の慈善学校に関する数少ない研究書としては、坂本等の業績(坂本清泉・坂本智恵子1983『近代女子教育の成立と女紅場』(あゆみ教育叢書10)あゆみ出版)があるとする。しかし、福原女学校については「(駆梅院に‐小笠原)入院中の芸娼妓を教育することは、比較的に容易であったからでもあろう。神戸の福原でも同様の事業が試みられていたという」と曖昧にしか記述されていない(坂本・坂本:169)。 今年度の研究においては、戸田のいう「空白部」を多少なりとも埋めるため、同女学校について当時の新聞記事を史料として、その実態を解明することに努力した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の学会報告「地方社会事業職員制の検討-人物としての社会事業主事(補)研究の手がかりとして-」を論文にまとめて学会誌等に投稿する予定であったが、まだ投稿できていない。また平成29年度の学会報告「女紅場としての福原女学校の実態について-『神戸又新日報』等の新聞記事を史料とした一考察-」も論文にまとめて学会誌等に投稿予定であったがまだ投稿できていない。 両発表とも現在論文化しつつあり、平成30年度中投稿予定であるが、本研究課題の進捗状況としてては、やや遅れていると判断せざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、平成28年度および平成29年度の学会報告を論文としてまとめ、学会誌等に投稿して、研究成果を公表することに努力することで研究課題を一層推進できると考えている。 そのためにより確実な史資料の渉猟や聴き取り調査を実施する予定であり、したがって平成30年度は出張旅費の支出が増加するものと考えている。 また本学図書館が所蔵していない基本史料『社会事業彙報』の復刻版、全17巻と別冊1巻を一括購入(定価34万円)の予定であり、それによって一層の史料検討が進むものと考えている。
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Causes of Carryover |
平成28年度および29年度の学会発表を論文にまとめて学会誌等に投稿する予定であったが、まだ投稿できていない。そのため調査研究費(出張旅費等)と投稿経費(郵送代、抄録翻訳代、資料複写費等)が未消化であり、次年度(平成30年度)使用額が生じた。 平成30年度には、2つの学会発表を論文にまとめるための資料渉猟や聴き取り調査に必要な出張旅費等の経費として使用する計画である。また本学図書館が所蔵していない基本史料『社会事業彙報』の復刻版、全17巻と別冊1巻を一括購入(定価34万円)の予定である。
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Research Products
(1 results)