2016 Fiscal Year Research-status Report
地域包括支援センターにおける地域のインフォーマル資源の主体形成を図る実践
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16K04240
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
荒木 剛 西南女学院大学, 保健福祉学部, 准教授 (90465766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 秀和 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (90405556)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域包括支援センター / 社会福祉士 / 住民主体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域包括支援センター(以下、包括センター)の社会福祉士に焦点を当て、地域の主体形成を図るソーシャルワーク実践について検討するものである。 平成28年度は、包括センターの社会福祉士と住民との関わり(「連携・協働」「ネットワーク」など)に着目し、先行研究の整理及びヒアリング調査を実施した。その結果、社会福祉士と住民との関わりは、高齢者の課題対応場面での連携・協働の他に、社会福祉士による出張相談や出前講座の実施、地域の会合やサロン活動への参加など、多様な取組によって担保され、これらは地域の主体形成に寄与する社会福祉士のアウトリーチ実践と捉えることができた。 また上記を踏まえ、九州8県の全包括センター(615ヶ所)の社会福祉士を対象に、地域の主体形成を図るソーシャルワーク実践についてアンケート調査を実施した(回収率33.3%)。その結果、住民との日頃の関係づくりや高齢者の課題対応における連携・協働はある程度実施できているものの、そこから地域の主体形成を図っていくには多くの課題があることが明らかとなった。 一方、社会福祉士を取り巻く組織環境としては、(1)包括センターの運営形態として委託型が多いこと(委託型61.5%、直営型38.5%)、(2)社会福祉士が単独配置となっていること(正規職員平均1.19人)、(3)社会福祉士は主に総合相談と権利擁護業務に従事していること(主な業務の回答割合各98.5%、93.7%)、などが明らかとなった。社会福祉士の属性としては、(1)比較的年齢が若いこと(30歳代44.4%、40歳代34.1%)、(2)包括センターでの実務経験年数が短いこと(3年未満39.5%、3年以上5年未満20.5%)、などが明らかとなった。 今後は、これら組織環境や個人属性と地域の主体形成を図る実践との関連について分析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は、当初の予定通り先行研究の整理及びアンケート調査を実施できた。しかし、アンケート結果の詳細な分析までには至っておらず(単純集計のみ実施)、その点で進捗としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、早急にアンケート結果の詳細な分析(社会福祉士の組織環境等と地域の主体形成を図る実践の関連など)を行うと共に、それを踏まえたヒアリング調査の質問内容や枠組みを検討する。その後、当初の予定通り、九州圏内の各県から2ヶ所の地域包括支援センターを抽出し、社会福祉士へのヒアリング調査を実施する。また、民生委員等へのヒアリング調査も実施する。
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Causes of Carryover |
先行研究・資料の収集状況、アンケート調査の回収や分析状況などにより次年度使用額が生じたと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き先行研究・資料等の収集を進めるとともに、アンケート調査の分析に伴う費用(人件費など)として使用予定である。
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