2016 Fiscal Year Research-status Report
10代で出産した母子世帯および寡婦世帯への福祉的支援に関する日米比較研究
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16K04242
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
出川 聖尚子 熊本学園大学, 社会福祉学部, 准教授 (90329045)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 児童福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「10代出産」と「母子世帯」という危機的な状況に陥りやすい2つの要因を合わせ持つ「10代出産母子世帯」について、日米の現状および福祉的支援の状況を明らかにすることを目的としている。 平成28年度において、まず、日本・アメリカにおける「10代出産女性」と「母子世帯」をめぐる状況として、貧困と教育という視点で文献研究を行った。日本においてもアメリカにおいても、母子世帯では貧困状況に陥りやすいという状況が明らかにされている。ただ、アメリカにおいては、10代で出産し教育を中断しても高校への再入学の道はみられる。一方、日本においては学業を中断した場合、通信制の高校や高校卒業認定試験などごく限られた形での教育へ復帰できる状況である。 また、日本において、母子世帯の母子に対して支援をおこなっている母子生活支援施設職員、婦人保護施設職員、母子寡婦福祉センター、通信制高校において託児施設を設けている高等学校、NPO法人への訪問調査をおこなった。アメリカにおいて、母子世帯を支えている「Family resource center」、10代出産母子世帯を支えているNPO、託児所付の高校、child careなどの支援者に訪問調査を行った。シングルマザーの抱えている状況は、経済的にも、時間的にも、子育てでも困難を抱えやすい状況であった。また10代の出産した者はアメリカは日本に比較して多く見られた。 さらに、日本において10代で出産した母子世帯・寡婦世帯の母に対して7名にインタビュー調査を実施、アメリカにおいて10名のインタビュー調査を実施した。日本においては10代で出産した母子世帯は、公的な支援に加えて、個人の持つ支援を活用して子育てを行っていた。一方、アメリカにおいては公的支援を利用しているものの、子育てにおいて私的ネットワークを利用している姿はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査、支援者への調査、当事者への調査なども順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度には、日本においては、母子生活支援施設、乳児院、婦人保護施設など施設職員、NPO法人の支援者のなかで、協力の得られる方に対してその利用者に対する調査票を用いた訪問面接調査を実施し、調査結果の分析を行う。また、アメリカにおいても同様に、10代出産ひとり親家庭の支援団体であるNPO法人の支援者など、協力の得られるものに調査票を用いた訪問面接調査を実施し、調査結果の分析を行う。また、日本・アメリカともに10代で出産した母子世帯、寡婦世帯に対してインタビュー調査を行う。 研究の変更点として日本もアメリカも10代で出産した人は、結婚を繰り返すことが少なくない。10代で出産した人について概観するためにも、10代で出産し、現在シングルマザーであるという人とともに10代で出産しシングルマザーの経験がある人という対象を広げて調査をおこなう予定である。
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Causes of Carryover |
今年度、4月にあった熊本地震の影響があり、研究開始までに時間を要したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
10代出産母子世帯への支援者 訪問面接調査 日本(熊本・沖縄・東京)、訪問面接調査 アメリカ(インディアナ州・メリーランド州)の予定。10代出産母子世帯へのインタビュー調査を日本(熊本・沖縄)およびアメリカ(インディアナ州・メリーランド州)で実施予定。10代出産者を含む母子世帯への量的調査(熊本・沖縄)の実施予定。
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