2016 Fiscal Year Research-status Report
スウェーデン福祉社会における「政府」と「市場・市民社会・家族」の境界域の分析
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16K04249
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Research Institution | Shoei Junior College |
Principal Investigator |
吉岡 洋子 頌栄短期大学, その他部局等, 准教授 (80462018)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スウェーデン / 福祉社会 / 市民社会 / 福祉国家 / 高齢者 / 児童家庭福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度(2016年度)は、主に二つの現地訪問を通じて研究を進めた。 第一に、調査対象国で開催された国際学会(International Society for Third-Sector Research)への参加である。自身の口頭発表は、スウェーデンと日本両国の高齢者介護を市民社会の役割から比較考察を試みる内容であり、発表用ペーパーはWorking Paper Seriesに掲載されることになった。同分野の海外研究者らとの意見交換、EUの最新動向に触れることができるという複数の意義があった。 第二に、別時期に現地調査を実施して、現場や団体の訪問、現地研究者とのディスカッション、最新文献資料の収集を行った。高齢者関係ではボランティアセンターの新しい姿、児童家庭福祉分野では地域に密着したファミリーセンターや、子どもの権利擁護活動の実例に触れ、公民役割分担に関する議論について新たな視点を得た。本研究の考察の視点の一つでもある、福祉国家の中核領域と公的責任の部分について、実践例から示唆を得ることができた。また、現地研究者と互いの研究関心に関する理解を深め合うことで、今後予定しているインタビュー調査への協力を得る土台が構築された。 以上の初年度の研究活動と成果をふまえて、二年目以降は「政府」と「市場・市民社会・家族」の境界域の具体的な側面にアプローチしていく。スウェーデン福祉社会の構造・諸相を明らかにするという本研究の目的達成に向けて、現地で入手した文献資料や最新情報を最大限活用して、個別の政策・事象・論点についての整理分析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究内容の順序が一部入れ替わる形となったが、全体として概ね順調といえる。これは、初年度(2016年度)は、調査対象国で開催された国際学会発表の機会を得たため、EUレベルでの国際的な研究動向フォローアップ、また現地研究者との関係性深化を優先させることとなったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の進め方として、まず各セクターの様々な主体へのインタビュー調査については、 当初予定とは順序が入れ替わるが、3年間の研究期間の後半に実施することで、課題を順調に進展させていく予定である。初年度に新たに構築した現地研究者との関係性を、2年目により充実させ、それを基盤としてよりオリジナリティの高い調査計画を立てていく。 また、2年目・3年目ともに学会発表又は論文発表を行い、最終年度には英語論文で成果を公表できるよう、現時点から見通しをもち研究を推進する。 現地調査の日程調整については、教育活動や本務校運営業務の兼ね合いで困難も大きいが、早めの調整を図り成果が得られるよう努める。
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Research Products
(2 results)