2017 Fiscal Year Research-status Report
特例子会社-教育機関の産学連携による次世代人材育成に関する調査・実践研究
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16K04250
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Research Institution | Tokuyama College of Technology |
Principal Investigator |
三浦 靖一郎 徳山工業高等専門学校, 機械電気工学科, 准教授 (00353235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小越 咲子 福井工業高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (70581180)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 就労支援 / 支援技術 / インターンシップ・プログラム / 技術者教育 / 産学連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,次世代技術者育成,技術の伝承,障害者の就労支援という複合的課題の解決を目指して,ユニバーサルデザイン環境,障害者向け福祉機器・治具開発のノウハウを持つ特例子会社と教育機関との連携による実践的な技術者育成法を模索することを目標としている. この研究で取り組む内容は,主として,製造業を中心とした特例子会社の訪問調査,特例子会社と高等専門学校との連携による技術系インターンシッププログラムの開発,特例子会社の特徴分析・類型化の3つであり,これらの結果を社会に還元することを目指す. これまでの研究により,特例子会社の訪問調査(会社視察および関係者への非構造化によるインタビュー調査)から,製造業やICT系の特例子会社では会社のノウハウを活用した技術系インターンシップ・プログラムが理論的には可能であるが,そこに携わる人材不足といったソフト面や物理的な受入れ人数といったハード面での課題があることがわかった. 一方,インターンシップ・プログラムに参加した学生は,彼らのインターンシップ報告会資料より,障害者雇用と科学技術の関係から安全や治具使用者への配慮などを学び,自分自身の視野が広がったことを報告していることから,インターンシップ・プログラムは学生に新しい価値観を与えたことが確認できた. また,特例子会社で開発・製作された治具の分類を試みるため,特例子会社の協力により提供された治具情報をもとに,治具データベース構築を考慮した治具分類に関する短期インターンシップ・プログラムを実施した.利用者に対応した治具製作や技術者教育で活用するために,治具の分類項目について十分検討する必要があることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では「例子会社の特徴分析・類型化」と「技術系インターンシッププログラム開発」の2つについて,訪問調査とインターンシップ・プログラムを中心に取り組んでいる. 教育・福祉・医療関係者において特例子会社の知名度は低い現状であるため,まずはインターンシップ・プログラムの拡充に取り組んだ.特例子会社には訪問調査時に先行事例を提供を,教育・福祉・医療関係者には関連学会で研究成果を発表をすることで,インターンシップ受入れや受入れを検討する会社やインターンシップに参加する学生や教育機関も徐々に増えてきた. インターンシップ・プログラム開発において,訪問調査時にインターンシップの教材となる会社のノウハウを見つけることで新規受入れ会社を増やすという初期段階から,機器開発を伴う場合は受入れ会社と学生との事前マッチングが必要な次の段階へと進めることができた.しかし,効果的な事前マッチングのしくみの検討という新たな課題がでてきた. また,特例子会社においては,障害者就労を可能にする治具開発のような支援技術に携わる人材の育成を考えていたが,障害者雇用拡大のためには障害者就労に必要な仕事の切り出しを行うマネジメント人材も必要であることが,会社関係者へのインタビューによりわかった.そこで,これらの人材についての調査も必要であると考え,これらを踏まえたアンケート調査の設問項目を見直すことになった.現在,特例子会社や社会福祉法人関係者の協力を経て,アンケート調査を検討しているところである. 特例子会社のノウハウを社会に還元する1つの方法として,特例子会社と連携して治具データベースの構築とその公開に向けてH30年度は取り組む予定である. 進捗状況としては,インターンシップ・プログラム開発は順調に推移しているが,特例子会社の特徴分析・類型化については遅れているため,全体としてやや遅れているという評価である.
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は,これまで同様に特例子会社の訪問調査と同時に会社の教育資源の発掘を行う予定である.特に,インターンシップ・プログラムの事前マッチングの方法について,特例子会社と協力して進める.また,典型的なインターンシップ・プログラムについての情報発信を行う予定である.また,治具分類については,特例子会社と連携して治具データベースの構築と活用方法について検討を行う予定である. これまでの取り組みにより,ものづくりを伴う長期インターンシップ・プログラムだけでなく,数日間の短期インターンシップ・プログラムや,支援技術に焦点を当てた会社見学においても価値観が変わる可能性があることがわかったため,インターンシップ・プログラムの実施が難しい会社向けに,支援技術を中心とした会社見学の内容についても検討したい. また,訪問調査により,特例子会社の特徴として,設立が早い会社は身体障害が,設立が遅い会社は精神障害・発達障害の雇用割合が多い傾向にあることがわかった.進捗状況で生じた課題を踏まえて,アンケート調査項目を整理し,技術系の特例子会社へアンケート調査を行う予定である. これらの研究成果を学会発表・論文発表やWEBページを通じて社会に発信する予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な要因は,新規訪問する特例子会社の選定に時間を要したこと,訪問調査を予定していた特例子会社との日程調整がうまくいかなかったこと,インターンシップ・プログラムの会社側と学生側のマッチングに課題が生じたこと,訪問調査によりアンケート調査項目の再検討が必要になったことなどが挙げられる.H30年度は,H29年度訪問予定だった特例子会社を中心に訪問調査の実施,アンケート調査などにかかる費用,新たに生じた課題であるインターンシップ・プログラムの事前マッチングの検討をはじめ,これらの研究成果を学会発表・論文発表やWEBページなどで情報発信するために使用する計画である.
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