2019 Fiscal Year Annual Research Report
Research on organizational factors related to reluctance of teachers to disclose negative information
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16K04263
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
植村 善太郎 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20340367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
釘原 直樹 東筑紫短期大学, 食物栄養学科, 教授 (60153269)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教員 / 保護者 / 情報開示 / 学校 / 集団 / 不正 / 組織風土 / 傍観者効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究期間において、情報開示を抑制する要因として、保護者からのクレーム経験による信頼感の低下、傍観者効果、そして、組織に内在する強固なヒエラルキーによる同調圧力が見いだされた。 今年度は2018年度に実施した、教員対象のオンライン調査の分析を進めた。調査には、幼児教育施設(幼稚園、認可保育所、認定こども園、届け出保育施設)の保育者が120名、小学校教員が159名、中学校教員が121名参加した。男性が160名、女性が240名で構成されており、勤務年数の平均は17.47年(SD=12.08)だった。組織内での不正の隠蔽、法令違反、体罰などの不正行為の発生頻度を尋ねた。それとともに、職員同士の協力的関係の構築程度、現場の意見が取り入れられる程度、上司―部下間での対話の頻度、経営に対するチェック体制などの組織風土に関する項目を準備した。分析の結果、不正行為の発生頻度には、「就労条件」、「協力関係」、「現場の声の吸収」が特に影響していることが明らかになった。 これまでの研究を総合すると、情報開示の消極性に影響する組織的な要因としては、「情報吸収力の弱さ」と「ヒエラルキーの強固さ」が中心にあり、そうした組織風土が同調圧力を高め、傍観者効果を促進することが考えられた。さらに、「情報吸収力の弱さ」と「ヒエラルキーの強固さ」とは、組織改善のきっかけになり得るクレームに対しても、心理的な脆弱さを生じさせ、クレームを寄せる保護者全般への不信感を高めている可能性があると考えられた。一連のプロセスについて仮説モデルの検討を進めた。
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