2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の認知機能の相違とエゴ・ネットワークに現象する特殊詐欺脆弱性リスクの解明
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16K04265
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
渡部 諭 秋田県立大学, 総合科学教育研究センター, 教授 (40240486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 泰秀 青森大学, 社会学部, 教授 (40226189)
小久保 温 青森大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (50295953)
吉村 治正 奈良大学, 社会学部, 教授 (60326626)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / 特殊詐欺脆弱性 / エゴ・ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、予備調査の再点検及び文献調査を行った。まず予備調査の再点検については、平成27年度に学内研究費で実施した予備調査について、振り込め詐欺脆弱性調査票の質問項目の点検と改良、調査対象者数の検討、taxometric分析とorganizational risk analyzer(ORA)による分析の検討、それに基づく仮説の再整理を改めて詳細に行った。続いて文献調査については、ネットワーク調査という難易度の高い調査技法を用いる点と、調査対象高齢者から認知的負担が少なく正確な回答を得るための工夫が必要である点、以前に科研費研究課題(課題番号24530788、「社会情動的選択性から見た高齢者のソーシャルネットワークに関する研究」)で実施した高齢者対象のネットワーク調査において明らかになった方法論的な課題について特に入念に調査を行った。そのためのアメリカ心理学会(APA)のデータベースAPA PsycNET Goldの更新も行った。最後に本年度中に行う予定であった振り込め詐欺脆弱性質問項目の作成については、作成作業に入ることができてはいるが完成には至っていない。これは、作成作業の進展を妨げる障害が起こったからという訳ではなく、文献調査に多少手間取り研究の進行に影響が出たためである。なお、本年度には研究分担者の澁谷を2度訪問し、質問項目の選定と質問紙の設計について相談を行った。また次年度の実施予定の本調査の分析で用いるORAの開発者の文献も見つけて読むことができたことは有意義であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、振り込め詐欺高脆弱性群(振り込め詐欺に遭いやすい認知特性を持つ群)と低脆弱性群(振り込め詐欺に遭いにくい認知特性を持つ群)の高齢者の認知機能の相違を明らかにし、更にエゴ・ネットワーク(ある特定の個人と周りの人とのつながり)内における位置の相違を検討して、それらと詐欺被害脆弱性リスクとの関連性について有益な知見を得ることである。したがって、振り込め詐欺脆弱性質問項目とエゴ・ネットワーク質問項目の2種類の質問項目を作成する必要がある。研究実績の概要で述べた通り、本年度は予備調査の再点検及び文献調査を行った。すなわち、振り込め詐欺脆弱性質問項目作成の準備が完了したことを意味する。質問項目作成の完了までに至らなかった点は反省の余地があるがおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況がおおむね順調に進展しているので、研究計画の大きな変更は予定していない。すなわち、エゴ・ネットワークに潜むリスクに関する仮説構築・調査票の中のエゴ・ネットワーク質問項目の作成・振り込め詐欺脆弱性およびネットワークリスク調査デザインの構築・振り込め詐欺脆弱性およびネットワークリスク調査の実施・taxometric分析およびネットワークリスク分析と研究を進める予定である。ただ当初の研究計画に少しの遅れが出ているので、推進スピードを多少早める必要はある。
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Causes of Carryover |
研究代表者及び研究分担者1名については、計画通りの使用を行ったが、研究分担者2名の使用額に不足が生じた。これは、本年度の研究計画のうち文献調査の1部を研究分担者にも担当を予定していたが、本年度の文献調査については研究代表者の担当分で終了したためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者には文献調査の補足分の実施を求める。それ以外は、当初の研究計画通りに進める予定である。
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Research Products
(2 results)