2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the differences in cognitive function of the elderly and the risk of special fraud vulnerability in the ego network
Project/Area Number |
16K04265
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
渡部 諭 秋田県立大学, 総合科学教育研究センター, 教授 (40240486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 泰秀 青森大学, 社会学部, 教授 (40226189)
小久保 温 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (50295953)
吉村 治正 奈良大学, 社会学部, 教授 (60326626)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高齢者 / 特殊詐欺脆弱性 / エゴ・ネットワーク / 指数型ランダムグラフモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の高齢者認知理論の代表的な理論である社会情動的選択性理論によれば、高齢者は短期的な未来展望により情動の安定を求めるために、ネットワークの規模は縮小され比較的疎遠な関係は切れる代わりに身内等との緊密な関係は維持されると説明される。更に、周囲とのつながりがない高齢者は特殊詐欺被害に遭いやすいとも言われる。そこで本研究では、特殊詐欺の脆弱性とエゴ・ネットワークの特性との間に何らかの関連性があるか検討を行った。高齢者の詐欺脆弱性と、エゴ・ネットワークを構成する周囲の人間の諸特性のデータを用いて指数型ランダムグラフモデルを用いた分析を行った。 高齢者に対して、日頃付き合いのある人間に関してそれらの諸属性についてインタビュー調査が行われた。調査対象高齢者は秋田市在住の60歳以上の高齢者10名である。調査は 2018年9月25日~26日に行われた。 インタビューの内容の書き起こしを行い、そこからネットワークを構成する周囲の者の諸特性を抽出した。それらのデータを用いて指数型ランダムグラフモデル分析を行った結果、調査対象高齢者の詐欺脆弱性と有意な関連がある特性としてエゴ・ネットワークのhomophilyが挙げられることが明らかになった。ある特性による類似性が周囲の者とのつながりを維持し、それが詐欺被害を防ぐ要因の1つになっていると思われる。
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