2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢者のストレス・コーピング行動が主観的well-being に及ぼす影響
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16K04269
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
中嶋 励子 東京女子大学, 現代教養学部, 研究員 (30572143)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / 主観的well-being / ストレス・コーピング |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である今年度は、高齢者が日常生活場面で加齢によるストレスをどのように認識し、適応方略を行っているのか、またそれらの適応方略とストレス・コーピング行動との関連を探索的に検証するために、文献整理と、高齢者を対象としたインタビュー調査の実施・分析を行った。インタビュー調査は、60代~80代(平均70.6歳)の男女18名を対象とし、1名あたり約60分間のインタビューを行った。インタビュー調査の実施に先立ち、所属機関の「東京女子大学人を対象とする研究に関する倫理審査委員会」に審査を申請し、承認を受けた。インタビュー内容を録音した後再生し、テキストに起こした記録から、対象者が日常感じているストレス及びそれらの適応方略に関する記録を抽出し、既存の尺度等を参考に作成したコーディング・ガイドを用いて、研究補助者との一致度の精度を高めながらコーディングを行った。コーディング後、まず、抽出した約150のストレス・適応方略単位の分析を行い、頻度及び両者の関連について検証した。次に、対象者ごとの分析を行い、適応方略間の関連を検証した。この結果に関して、2017年9月に開催予定の日本健康心理学会(於明治大学)での学会発表に向け、原稿を作成している。 また、これらの結果分析をもとに、次年度実施予定の質問紙調査の質問項目案及び検証すべき仮説の検討を重ねるとともに、委託予定の調査会社と、質問紙調査の送付・回収方法、対象者のスクリーニング方法・手順、実施スケジュール等に関して調整を行っている。なお、次年度実施の質問紙調査の仮説構築に向け、日本社会心理学会(2016年9月、於関西学院大学)にて、本研究の研究仮説に関する学会発表を行い、高齢者の心理を研究する研究者等の知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度実施を予定していた高齢者を対象とするインタビュー調査の実施及び分析については、予定通り完了している。一方、次年度実施を予定している質問紙調査の仮説の構築及び質問項目の決定等の実施準備がやや遅れている。また、質問紙調査の具体的な実施方法について、委託予定の調査会社との調整に、予定していたより時間を要している。調査会社に登録しているモニターの中から、40-50代の男女150人、65-80歳300人を対象者とした郵送調査を行う予定であるが、高齢者の対象者のスクリーニング方法・手順、回答を得る手順等が調整中であることがやや遅れている理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、質問紙調査を、中高年(40-50代)及び高齢(65-80代)を対象として行う。質問紙調査の実施に向け、高齢層の対象者のスクリーニング方法、質問項目の検討、及び委託調査会社との調整を重ね、所属機関の倫理委員会の審査を得て、調査を実施する。質問紙調査により収集したデータの入力、自由回答のコーディング、仮説検証のための多変量解析等の分析を行い、ストレス・コーピングと主観的well-beingに関して構築した仮説モデルの検証を行う。質問紙調査の主な項目は、日常のストレス、適応方略、加齢に対する適応方略、対象者の属性、主観的な健康、人生満足度、ポジティブ/ネガティブ感情等に加え、性別、年齢、日常の活動等の属性項目を予定している。
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Causes of Carryover |
物品購入に関しては、インタビュー調査の実施に最低限必要なICレコーダー等の物品に留めた。その理由として、購入予定であったビデオカメラは次々年度予定の観察調査の録画に適する機材を優先する必要が生じたためであり、次々年度の購入を予定している。ノートパソコン、ハードディスク、統計ソフトは、今年度の分析には学内の機材等を使用し、次年度の質問紙調査で行う多変量解析が十分に行える物品等を次年度購入予定である。また、次年度行う質問紙調査の高齢対象者の抽出について、委託調査会社と検討を重ね、可能な限り偏りのない抽出のためにはスクリーニング対象の範囲を予定より広げる必要があり、そのための追加費用の必要性が生じている。スクリーニング対象の範囲を決定した後、再度検討し、これらの物品等を購入する予定である。研究補助人員の人件費は、次年度の調査の仮説構築の分析作業が遅れているため、次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度購入予定のノートパソコン、ハードディスク、統計ソフト等の物品を購入する。 次年度実施予定の質問紙調査を、準備段階から検討を重ねて行い、収集したデータの分析を行い、構築した仮説モデルの検証を行う。
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Research Products
(2 results)