2018 Fiscal Year Research-status Report
日本人と中国人の異文化コミュニケーションに関する実験社会心理学的研究
Project/Area Number |
16K04276
|
Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
木村 昌紀 神戸女学院大学, 人間科学部, 准教授 (30467500)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛 新華 神戸学院大学, 心理学部, 講師 (90506958)
小林 知博 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (70413060)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 社会心理学 / 対人コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終的な目的は、日本人と中国人による異文化コミュニケーションの心理メカニズムを実験的に検討し、両者による円滑な異文化コミュニケーションの方法を提案することである。 本年度の研究実績として、これまでに実施した日本人と中国人を対象にして行った会話実験のデータを追加分析し、次年度に学会発表できるように準備を進めたことがある。具体的には、対立的な討議場面を設定して、日本人と中国人それぞれ未知関係と友人関係を対象に実験を行った。対立的な討議は、社会的問題から関心あるテーマを各ペアで選択してもらい、実験者が無作為に「賛成」「反対」の立場を指定して、互いに相手を説得する状況であった。そのデータを追加解析した結果、集団主義文化圏とされる東アジアで暮らす日本人と中国人の両者は、対立的討議でも他者との調和を追求することが示唆された。しかし、そのアプローチは異なり、日本人は笑顔やうなずきなどの非言語行動で協調的姿勢を示す一方、言語的な対処は消極的だった。それとは対照的に、中国人は非言語的には真摯に眼差しを向けながら、硬軟織り交ぜて積極的な言語的対処をしていた。対立的討議が苦手な日本人と違い、中国人は関係葛藤を知覚しにくく、平静を保って議論を楽しめるものと推察される。この知見を2019年7月に開催されるアジア社会心理学会13回大会、同年9月に開催される日本心理学会で発表する予定である。 これまで日本人と中国人それぞれの会話実験を行ってきたが、今後は実際に日本人と中国人による異文化コミュニケーションの会話場面を設定して実験を行う予定である。そのため、まずは日本人のみを対象にした予備的検討を進めているが、日本人参加者と中国人参加者を同時に募集し、スケジュールを調整するための準備に時間を要している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、日本人と中国人による異文化コミュニケーションの心理メカニズムを実験的に検討し、両者による円滑な異文化コミュニケーション方法を提案することを最終目的としている。そのために、これまで日本人と中国人それぞれのコミュニケーションを比較し、異文化コミュニケーションの促進要因となる両者の共通性と、抑制要因となる相違点を整理してきた。次の段階として、実際に日本人と中国人を同時に募集し、実験スケジュールを組む必要があるが、この準備に予想していたより時間を要してしまっている。実験者がまとまった時間を作った上で、日本人と中国人参加者双方が都合のつくようスケジューリングするのが難しく、2018年度の実施はできなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、2018年度に行った、対立的討議の日本人・中国人比較実験データの追加分析から得られた知見を踏まえて今後の研究計画に反映させる。また、2019年度に予定している学会発表で、研究のヒントを得られるよう情報交換を積極的に行うとともに、そこでネットワークを作り、今後の研究遂行に活かしていきたい。さらに、研究代表者・分担者の所属機関の留学生窓口や、連携先の研究機関と協力して、異文化コミュニケーション実験の参加者確保に取り組むことを計画している。
|
Causes of Carryover |
(理由) 本年度は、これまでに実施した会話実験データの追加分析と学会発表準備を行った。また、実験のスケジュール調整に時間を要したため、支出はなかった。 (使用計画) 本年度の繰り越し分と、次年度予算を合わせて、学会発表のための旅費や実験参加者への謝金、分析補助者のアルバイト代などを中心に予算執行を行う予定である。
|
Research Products
(2 results)