2019 Fiscal Year Research-status Report
日本人と中国人の異文化コミュニケーションに関する実験社会心理学的研究
Project/Area Number |
16K04276
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
木村 昌紀 神戸女学院大学, 人間科学部, 准教授 (30467500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛 新華 神戸学院大学, 心理学部, 准教授 (90506958)
小林 知博 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (70413060)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 社会心理学 / 対人コミュニケーション / 異文化コミュニケーション / 日本 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究全体の目的は、日本人と中国人による異文化コミュニケーションの心理メカニズムを実験的に検討し、両者による円滑な異文化コミュニケーション方法の指針を提案することである。 2019年度の研究実績として、①これまでの研究成果の発表、②会話実験の実施、③実験データの解析がある。 ①は、 2019年7月に台湾で開催されたThe 13th Biennial Conference of Asian Association of Social Psychologyと、2019年9月に大阪で開催された日本心理学会第83回大会での研究発表が挙げられる。 ②は、2019年11月から12月にかけて、日本人大学生と中国人留学生による異文化コミュニケーションの会話実験を実施した。関西圏の大学で、日本人大学生と、中国人留学生をそれぞれ募集して、初対面になるようにマッチングして会話実験を実施した。事前にオンライン調査を行い、幾つかの質問項目に回答してもらった上で、当日の対面会話実験に参加してもらった。当日の実験では、相手文化に対する潜在的態度・顕在的態度を測定し、情緒志向的話題と課題解決的話題の2種類の会話を行ってもらった。会話の様子は3台のビデオカメラ(2人の全体的な様子、日本人大学生の表情、中国人留学生の表情)で撮影した。それぞれの会話終了後に質問項目に回答するように求めた。加えて、ストップ・ディスタンス法によってパーソナル・スペースを測定した。最後に、ディブリーフィングを行い、謝礼を渡して実験を終了した。実験の実施に際して、所属機関の研究倫理審査委員会の承認を受けた。参加者には、事前に研究内容を説明し、参加や撮影の同意をもらった。 ③は、2020年1月から2月にかけて、質問紙データの入力及びオンライン調査データとの統合、さらに、表情を撮影した動画から自動解析ソフトを用いて表情解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度、日本人大学生と中国人留学生による異文化コミュニケーションの会話実験を実施できたことは大きな成果であった。その後、実験データの解析を進めて、研究は順調であった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大が年明け頃から顕著になった。2020年3月、所属機関の大学が閉鎖となり、会話実験データのうち、会話の動画からのコーディング作業ができなくなった。また、2020年8月頃に予定していた新たな実験実施のため、中国の大学と協力して計画を立てていたが、こちらも中国国内の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて計画がいったん白紙となってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、まず、現状手元にあるデータの分析から着手して、可能な限り進めていくことが考えられる。19年度に実施した日本人大学生と中国人留学生による異文化コミュニケーションの会話実験の中で、質問紙及びオンライン調査データ、表情の自動解析データが手元にあるため、これを分析して結果をまとめていく。次に、大学閉鎖となり、ストップしてしまった会話動画からのコーディング作業について、テレワークの形で研究補助者を雇用して作業を進めることを検討している。最後に、中国国内での会話実験への対応がある。これは、中国国内の中国人大学生と日本人留学生との異文化コミュニケーションの会話実験である。しかし、現在中国への渡航は制限があり、日本人留学生も大半が帰国している。状況を注視し、先方の大学と連絡を取りながら、研究期間の延長を視野に入れて共同研究者と対応を協議しているところである。
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Causes of Carryover |
今後、2019年度に行った会話実験の動画についてコーディング作業を予定している。そこで、研究補助者2名を雇用するため、その支出がある。また、中国国内での会話実験も予定しており、旅費や実験参加者への謝礼、会議室使用料などに充当することを考えている。
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Research Products
(4 results)