2020 Fiscal Year Research-status Report
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16K04278
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
村上 史朗 奈良大学, 社会学部, 教授 (30397088)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 記述的規範 / 規範認知 / 社会心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
〇記述的規範の解釈フレームの顕現性について 記述的規範の解釈フレームの顕現性について、新型コロナウイルスへの感染予防行動を念頭に置いた向社会的行動を題材とした調査研究の予備研究を実施した。その結果、実験的な操作によって「経済的損失回避」フレームと「感染予防」フレームの操作を試みたが、想定通りに実験操作が機能しなかった。そのため、操作方法の修正と、操作を行わずにシナリオを用いた調査研究に切り替えることを平行して、計画の修正を行っている。
○新型コロナウイルス感染予防行動促進のためのメッセージの効果の検討 本研究課題に関する応用研究として、新型コロナウイルス感染予防行動を促すメッセージの効果を検討した。「自分の身を守るため(personal条件)」、「地域社会の安全を守るため(public条件)」「家族の安全を守るため(family条件)」、メッセージのない統制群を設定し、感染予防行動との関連を検討した。その結果、統制群と比較して全てのメッセージに感染予防行動促進効果が見られた一方、メッセージの内容による効果は見られなかった。実施時期が2020年5月であり、すでに広く感染予防行動の意義が知られていたため、メッセージの内容による効果が見られなかったと解釈できる。一方、感染予防行動の意義が周知されているにも関わらず、統制群と比較してメッセージの効果が見られていたことから、常識化している内容であってもメッセージを繰り返し提示することには効果があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
社会的意義の観点から、本研究課題の応用研究として当初計画にはなかった新型コロナウイルス感染予防行動へのメッセージ効果の検討を急ぎ実施した一方、当初計画の研究内容については予備研究を実施するにとどまった。これは、上述のメッセージ効果の検討が、即時性を必要とする内容であったため、優先的に時間を割り当てたためである。
また、オンライン授業への転換等により、例年に比べて十分な研究時間を確保することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の概要に記した通り、当初計画から予定を変更した調査を行う。具体的には、(1)複数フレームで解釈可能な規範的行為について、それぞれのフレームをプライミングする先行課題を条件ごとに設定し、その後にターゲットとなる規範的行為について質問を行う構成、(2)複数フレームに関するシナリオを提示した場面想定法による調査研究、のいずれかを行う。前年度の予備研究結果を再検討し、いずれの調査を行うかを決定、実施する。 また、前年度に実施できなかった、記述的規範認知の自動性を検証する実験的研究も行う。記述的規範認知が行動選択に及ぼす影響はヒューリスティック的であると仮定し、高認知負荷時にその影響がより大きくなるとの予測を検証する。
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Causes of Carryover |
(理由) 「現在までの進捗状況」に記載した通り、新型コロナウイルス感染予防行動に関する調査を急遽実施したこと、またオンライン授業等の負担増大によって研究時間が十分に確保できなかったことから、当初計画研究の一部がが翌年度にずれ込んだため、調査・実験費用を執行できなかったことが主な要因である。 (使用計画)主たる用途は、オンライン調査の実施費用と実験参加者謝金を予定している。
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Research Products
(1 results)