2016 Fiscal Year Research-status Report
寄り添いをキーワードとした援助者-クライアント関係におけるフレームワークの構築
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16K04283
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Research Institution | Hijiyama University Junior College |
Principal Investigator |
前田 和寛 比治山大学短期大学部, その他部局等, 講師 (30462055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志和 資朗 広島修道大学, 人文学部, 教授 (20351984)
中西 大輔 広島修道大学, 人文学部, 教授 (30368766)
河野 喬 広島文化学園大学, 社会情報学部, 講師 (20738843)
井川 純一 広島文化学園大学, 社会情報学部, 講師 (90748401)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 寄り添い / 対人援助 / 社会問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
「寄り添い」という用語は、援助者がクライアントに対して、一定の心理的なコミットメントを持って関わることを意味する言葉であるが、その明確な定義や手続きへの言及はほとんどない。しかしながら、援助者は極めて頻繁にこの用語を用いて自らの援助行動を表現し、またマスメディアにおいても「寄り添う」ことは好意的に報道されることが多い。本研究では、この「寄り添い」という言葉が援助者にとってどのような意味で使用されているのかを明らかにし、この用語の使用が援助者自身の心的な安定やクライアントとの間の信頼関係の構築にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることを目的とする。 該当年度の研究として, 対人援助職の「寄り添い」が他者にどのようなイメージを与えるかを場面想定法実験で検討した。実験参加者は, 対人援助職がクライアントに支援を行う場面について記述された短文シナリオを読み, それぞれに対して印象評定を行った。シナリオは, 語句条件 (統制 / 寄り添い / 一生懸命) , と転帰条件 (支援の結果: ポジティブ / ネガティブ) を変化させた6種類作成した。多変量分散分析 (MANOVA) を行った結果, 語句及び転帰の主効果が認められた。これらの結果から, クライアントがネガティブな転帰を迎えた場合には, 援助の内容にかかわりなく, 対人援助職の印象が悪くなる一方, 「寄り添い」という用語を使用することで, 個人的親しみやすさを向上させることが明らかとなった。 これは「寄り添い」という用語の持つ意味を実証的に示すものであり,この知見を基盤に尺度開発および援助者-クライアント関係におけるフレームワークの構築へ寄与するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画にほぼ沿った進捗である。メンバー間の分担が明確であり,またコミュニケーションも円滑に行われている。各自が予定通りのエフォートを確保することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い,今後も進めていく。今後は各研究の成果について論文などで公開するために,調査計画と共に執筆計画についても協議していく。 具体的にはオンラインミーティングを実施して調査票の内容を作成しつつ,定期的にミーティングを実施してディスカッションし,完成させて実施していく。
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Causes of Carryover |
当該年度で予定していた経費のうち,次年度使用額が生じた主なものは旅費である。これは,当初予定していた学会での発表を見送ったことから発生している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分として請求した助成金については旅費以外は予定通り使用する。また当該年度で予定していた学会での発表を翌年度に行うため,この次年度使用額を旅費として使用する計画である。
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