2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K04285
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
岩木 信喜 岩手大学, 教育学部, 准教授 (80341593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 紗枝子 徳島文理大学, 人間生活学部, 講師 (80784496)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 記憶 / 学習 / エラー / 矯正フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、児童を対象とする実験のための基礎データを得るために、大学生を対象として学習に及ぼす正答フィードバック(FB)の呈示の仕方(実験1:直後FB vs. 遅延FB)、および、正答フィードバックの学習に関わる注意要因(実験2:自動的/制御的)を検討した。 実験1では漢字の読み誤りの修正に及ぼす矯正FBの効果をその呈示タイミングを変数として検討した。通常、直後FBよりも遅延FBの方が矯正FBの学習が促進されるが、実験の結果、自己生成した誤答の想起が遅延FBの直後FBに対するアドヴァンテージに寄与する可能性が示唆された。つまり、遅延FBのアドヴァンテージは被験者が自己エラーを短期記憶に想起することによって起こることが示唆され、これは我々の当初の仮説に沿った結果である。この成果は、国際誌に公表済みである(Iwaki, Nara, & Tanaka, 2017)。 また、漢字の読み誤り時の矯正FBの学習に自動的注意が寄与することが明らかにされているが(e.g., Butterfield & Metcalfe, 2006)、実験2として制御的注意の効果の有無について電気生理学的に(脳波を用いて)検討した。その結果、自動的注意だけではなく、制御的注意も矯正FBの学習に寄与することが明らかとなった。この成果は、現在、国際誌にて審査中である(Iwaki & Tanaka, submitted)。 平成30年度の計画としては、自己生成エラーの記憶の想起が矯正FBの学習に与える影響をさらに学生を対象として追及し、効果的な手続きを特定したい。その上で、その成果を児童への実験に応用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学習における矯正フィードバック(FB)の影響を検討するうえで、新しい課題が認識され、その検討のために時間を要してしまった。具体的には、矯正FBを与えるタイミング(反応の直後に与えるか、遅延させるか)、および、注意要因(自動的/制御的)の関与の検討である。これらの検討は平成29年度にほぼ終えることができた。 従来の予定では、平成29年度に児童への応用を計画していたが、これは、平成30年度に実施する予定である。したがって、平成30年度は、自己生成エラーの想起の学習に及ぼすポジティブな効果について、学生と児童の両者で検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
自己生成エラーの想起が学習に与えるポジティブ効果について、まずは学生で追加検討する。この実験はすでに始めており、7月末までに終える予定である。この実験を実施する大学生の確保ができており、十分可能である。 また、児童への応用については、前期中に附属小学校と調整をし、夏休みから12月にかけて実験を実施する予定である。この実験の実施に貢献できる大学院生を確保する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた実験が次年度の実施となり、また、英文校閲に予定していた予算が一部余ったため。
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