2018 Fiscal Year Annual Research Report
The functions of learners' knowledge operation in the class and the promotion conditions
Project/Area Number |
16K04287
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
工藤 与志文 東北大学, 教育学研究科, 教授 (20231293)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 授業の心理学 / 教授者 / 教材解釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで「知識操作」の促進条件を検討してきたが、その過程において「授業者の教材理解や解釈」という要因の重要性が見出された。あらかじめ用意された教材のみならず、授業者の教材に対する理解や解釈によって授業展開が大きく左右されることは、教科教育研究の領域では自明のことと見なされてきた。しかし、授業の心理学的研究において、その影響の大きさが十分に認識されてきたかどうかについては疑問が残る。そこで、今年度の研究においては、授業の心理学を構築する上で、授業者要因をどのように組み込むかという点について考察を行った。その結果、以下の結論に至った。①授業過程そのものを心理学研究の対象にする場合、授業者要因を組み込まざるを得ない。教授活動を独立変数、学習成果を従属変数とする従来の研究パラダイムは、教材要因と授業者要因の区別を不分明にする点で限界がある。授業者変数を媒介変数とする新たな研究パラダイムが必要である。②授業の心理学研究においては、教材構成の論理(教材作成者)、授業展開の論理(授業者)、学習過程の論理(学習者)を峻別することが重要である。これらの論理の相互関係ならびに学習成果との関係性を解明することが研究課題となる。特に、どのような授業展開の論理を構築するかという点において決定的に重要と思われるのが、授業者による「教材構成の論理」の読み取りや解釈である。この点を要因化することにより、授業者による「教材研究」や「教材解釈」と呼ばれてきたものを心理学研究に組み込むことが可能になると思われる。
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